- [著]ジョン・オカダ
- [翻訳]中山 容
- カテゴリ:
- 単行本
- ISBN:
- 4794922884
- 発売元:
- 晶文社 (1979/03)
- 価格:
- ¥ 2,835 (税込)
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日系アメリカ文学の最高傑作
品切れ状態だった邦訳書がリクエスト復刻したのは喜ばしいことだ。日系を含むアジア系アメリカ文学と呼ばれる作品は、小説、詩、演劇等々、かなりの勢いで増えているが、それは1980年代半ばからのこと。70年代にジョン・オカダの名前を口にしても「誰?」という反応が多かった。アメリカ文学といえば白人、ユダヤ系、アフリカ系までで、アジア系や中南米系作家たちに注目が集まったのはそんなに昔ではない。ジョン・オカダはこの一作を残して逝った二世作家。しかし、この"No-No Boy"を残してくれただけで充分だ。才気あふれる中国系のマキシン・ホン・キングストン等の小説に比べれば、オカダの文章はやや見劣りがするかもしれないし、構成も決して巧くない。しかし、主人公に込められた複雑で切実な問題は、21世紀の今も私たちの中にそのまま残る普遍的なテーマである。国とはなにか?人種とは?民族とは?戦争とは?家族とは?友情とは?。太平洋戦争中の日系アメリカ人強制収容所というマス・ヒステリックな状況を背景に、日系人にも触れられたくない存在であった「ノーノーボーイ」(合衆国への非忠誠を選び、戦争終結まで投獄された日系人)を真正面から捉えようとしたオカダの冷静な視線は賞賛されるべきである。JACL(日系アメリカ市民協会。合衆国に同化する方針を堅持した日系社会最大の組織)による「正統的日系アメリカ人史」が触れたくない暗部を芸術作品の形で昇華したという意味で、同じ二世のエミコ・オーモリ&チズ・オーモリ姉妹による「徴兵拒否者(ドラフト・レジスターズ)」を描いたドキュメンタリー映画「ラビット・イン・ザ・ムーン」と共に、長く読み継がれるべき傑作である。
