定本 映画術―ヒッチコック・トリュフォー

  • [著]フランソワ トリュフォー
  • [翻訳]山田 宏一
  • [翻訳]蓮實 重彦

カテゴリ:
単行本 (384頁)
ISBN:
4794958188
発売元:
晶文社 (1990/12)
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15,782 位
評価: 5.0
2008
07/26
Sat

「よいしょ本」

60.0% (3 / 5)
[No.13] posted by クーリング・オフ

1967年に出版された、「よいしょ本」です。
ヒッチコックは、最後の傑作『鳥』を撮り上げたころです。自分の作品を研究し尽くした、若き才能たち(スピルバーグetc)に追い上げられ、活躍の場が徐々に狭まっていく前の、ひとときです。

ピークをすぎた“天才”が、
敵に塩をおくることがあるのか。
ありえませんッ!!
自分の手のうちを明かすには、もう歳をとりすぎています。のらりくらり、質問をかわして、本質は語りません。

「よいしょ本」です。
ファンには楽しめる本ですが、
“創り手”には参考になりません。
ファンのみなさん、ごめんなさい。
トリュフォー先生の『黒衣の花嫁』はオススメです。

2008
05/16
Fri

複雑な影

0.0% (0 / 4)
[No.12] posted by くにたち蟄居日記

 大きくて高い本だが 実に面白い本だ。

 ヒッチコックというと ミステリーの巨匠と言われるかもしれない。確かに彼の映画でミステリーや犯罪が出てこないものは まず無い。従い 万人が見て面白いという点は言えると思う。その意味ではヒッチコック映画は娯楽映画である。

 但し 単なる娯楽映画に終わっていない点が ヒッチコックなのだ。二点あげたい。

 まず一点目。映画の技術をベースとした きわめて前衛的な映像作家であったという点だ。
「ロープ」の長廻し、「鳥」の音響効果、「裏窓」の舞台設定、「ハリーの災難」のブラックユーモア、「フレンジー」の殺人場面等 独創的な映画要素が盛り込まれている。これがあるからこそ 結果が分かっていても 幾度も繰り返し見てしまうものがある。トリュフォーのような ヌーベルバーグの巨匠がインタヴューをしたくなるわけだ。

 二点目。
 ヒッチコックの映画の底に流れる奇妙な暗さが特殊な味付けをつけている。たとえば 彼の映画には 基本的にはマザーコンプレックスが通奏低音としてある。
 「サイコ」は言うまでもないが 「北北西に進路を取れ」「鳥」「見知らぬ乗客」等には必ず マザーコンプレックスが出てきている。
 そもそもヒッチコック自身が 幾分 影のある人物であり それなりに屈折した人であった点は 有名らしい。「太った ウィットの効いた人物」という雰囲気は 彼なりの演出であり相当に複雑な人だったらしい。そんな彼自身の「影」が 彼の作品にも染みついている気がしてならないのだ。

 
 ヒッチコックは 多くの映像作家にとって「先生」だったという。この本を読んだのも20年前だが その印象はいまでも強く残っている。
 

2007
12/17
Mon

技術、手術、映画術

0.0% (0 / 4)
[No.11] posted by ホ

10年前の1997年。古書店で何度か糊口をしのいだあとの何刷目かの何冊目か、幸い早期に発見された胃癌の切除のための入院中、当時はまだ内視鏡技術が現在のようでなく、患者を適度に弱らせるための手術前の6日間に読み直した。観ていた作品は反芻し、観ていない作品はイメージを馳せながら。思い起すとそこには夥しい死とその方法が表現されていたのに、とても慰められた。知り合いのなかには、当時ベストセラーだった松本人志の「遺言」をお見舞いに持って来たお馬鹿もいたが(読まずに捨てた)。2度と映画を観ることが出来なくなるかも知れないと、そのとき、映画の塊りたるヒッチコック/トリュフォー/山田宏一氏/蓮實重彦氏の更に塊りであるこの本の純度が、言いようもない不安を薙いでくれた。そして、いま私の部屋の本棚には「映画術―ヒッチコック・トリュフォー」の定本がある。今朝もある。

2007
10/28
Sun

読み物としてもおもしろい

33.3% (1 / 3)
[No.10] posted by kppyz

「映画術」というタイトルに怖気づいてしまう人もいるかもしれませんが、そんなに堅苦しい本ではありません。
映画のことしか頭にないシネフィル然としたトリュフォーと、冗談好きですぐに話がそれるヒッチコックの会話を読むだけでも楽しめます。
映画ファン必読なのは言うまでもないとして、「run for cover (確実な地点に戻ってやり直せ)」「現実とは創るものだ」などの言葉は映画関係者以外の人でも人生訓・処世訓として使えそうです。
トリュフォーの方もさすが元批評家だけあって質問の仕方がうまく、核心を突いていますが、ヒッチコックはどんな質問にも「そう、その通り」と答えて本質的な部分をはぐらかしているようにも見えます。
やはり芸術家たるもの、自分の作品を長々と解説して解釈の幅を狭めるようなことはしたくないのでしょうね。

2007
07/15
Sun

至高の映画本。映画を観ると言う事の意味がわかる。

20.0% (1 / 5)
[No.9] posted by 白頭

出版当時に買ったが、未だにこれを凌駕する映画本がないのが
寂しい。但し、ヒチコック映画を観てない方には面白みはないかも。
今やマニアックな本といえるかも。

2006
09/02
Sat

完全無欠の映画本。

71.4% (5 / 7)
[No.8] posted by アルティマニア

「質」「量」ともに、充実した本。かなり読み応えがありました。元々海外で「名著」として評価されていたのも頷けます。ヒッチコック監督が、自身の映画をインタビューという形で一つ一つ丁寧に解説します。ヒッチコックファンには、それだけでもうたまらない内容なんですが、本書は、映画の撮影、スクリプト、カメラワーク、編集、照明などにまで言及がされており、「ヒッチコックバイブル」の域にとどまらず「映画バイブル」と言ってもいいくらいに、「映画」について色々と書かれてあります。映像に携わる仕事をされている方には、有無を言わずにまず読んでもらいたいです。「サスペンスの巨匠」として名高いヒッチコック監督ですが、実は映画監督の中で、1番模範的な映画監督だと私は思います。そのヒッチコック監督から直々に撮影手法の手解きを受けられるのですから、この価格なら決して高くはないでしょう。★6つを付けてもいい程の、まさしく「名著」でした。映画ファンの方にもオススメです!

2003
09/14
Sun

ヒッチコックのバイブル

77.8% (28 / 36)
[No.7] posted by voodootalk

ヒッチコックのバイブルと言われる本。20年前に購入。今でも愛読している。ヒッチコックの斬新さは映画の表現技術がこの20年飛躍的に向上しても、依然よりファンダメンタルな部分に属していて極めて刺激的だ。

トリュフォーがインタビューすると言う形式もなかなかいい。

ヒッチコックがこの時代の映画の表現技術を持っていたらどんな作品を作っていただろうという思いが走る。映画ファンなら必読。

2003
06/17
Tue

映画制作にとっての逸品の書!

71.4% (5 / 7)
[No.6] posted by tatsumiij

もともと、映画評論を仕事としていたトリュフォーの快心の書とも言えるインタビュー形式を主に用いた映画界の財産となる本といえるでしょう。先ず、トリュフォーが自称ヒッチコック・マニアを名乗るだけあって、読者が一番質問して欲しいと思っていることを的確にヒッチコックに投げかけていく。ソレに対して当のヒッチコックも、そのあまりにも的確でポイントを正確についた質問に、気分良く答えていくのが、読む我々にヒシヒシと伝わってくる。撮影上の細かな演出から、アイデアの出し方まで、映画創りのエキスが生の声で聞こえてくる映画ファンにとっては、教科書ともいえる本となっています。

2003
06/17
Tue

映画制作にとっての逸品の書!

71.4% (5 / 7)
[No.5] posted by tatsumiij

もともと、映画評論を仕事としていたトリュフォーの快心の書とも言えるインタビュー形式を主に用いた映画界の財産となる本といえるでしょう。先ず、トリュフォーが自称ヒッチコック・マニアを名乗るだけあって、読者が一番質問して欲しいと思っていることを的確にヒッチコックに投げかけていく。ソレに対して当のヒッチコックも、そのあまりにも的確でポイントを正確についた質問に、気分良く答えていくのが、読む我々にヒシヒシと伝わってくる。撮影上の細かな演出から、アイデアの出し方まで、映画創りのエキスが生の声で聞こえてくる映画ファンにとっては、教科書ともいえる本となっています。

2003
03/25
Tue

ヒッチコックのこだわりとトリュフォーの情熱に感服

84.2% (16 / 19)
[No.4] posted by koz19

無声映画時代から晩年に至るまでのヒッチコック名作群(と少々の失敗作)を論題にして、二人の巨匠が「映画術」について熱く語り合っています。

「ヌーヴェルバーグの旗手」トリュフォーによる「サスペンスの神様」ヒッチコックへのインタビューという設定だけで、多くの映画ファンは興味を惹きつけられるでしょう。その期待に違わず、内容も最上。撮影テクニック、俳優の在り方、観客との駆け引き等、対談は映画の隅々に及び最後まで飽きさせません。ヒッチコックの映像への徹底的なこだわりと、彼の映像哲学をここまで深く引き出したトリュフォーの映画への情熱にただただ感服します。本の大きさに怯んでしまうかもしれませんが、マニアックな表現も多くないので、映画マニアでなくとも映画好きなら一気に読めるでしょう。

「ヒッチコックなんて過去の人」と決め付けるのは早計です。確かにCGを見慣れた現代の映画ファンからすれば、当時斬新だった特殊技術も陳腐に感じるでしょう。が、観客の「心理」というものは今も昔も変わりません。恐怖とジョークを絶妙にブレンドして、観客を映像世界へ引き込んでいく表現技法は、今なお鮮烈。彼の代表作のひとつである「汚名」などは現代の映画と比べても遜色なく面白い。本書と併せて、デビット・フィンチャーなどの作品を観れば、この巨匠が後世の映像作家たちにいかに多大な影響を与えているのかはっきりとわかるでしょう。
例えヒッチコックファンでなくとも、映画好きの方には是非お薦めしたい一冊です。


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