あの戦争から遠く離れて―私につながる歴史をたどる旅

  • [著]城戸久枝

カテゴリ:
単行本 (460頁)
ISBN:
4795847428
発売元:
情報センター出版局 (2007/08/20)
価格:
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評価: 5.0
2008
10/19
Sun

稀有な立ち場が可能にした新鮮な感覚

[No.26] posted by 白頭

普通の日本の若者の視線と、残留孤児二世の視線という、
ちょっと特異な著者の立ち位置が、この本の魅力を
大きく支えていると思います。

普通ならかなり重厚なテーマになりそうなのですが、
日本生まれというところが、歴史への一定の距離感を
与えています。かつ、大方の読者と地続きな感覚なの
でとても分かりやすいです。
フレームは普通の日本の若者でありながら、父親の経験
から必然的に孤児について(それを巡る歴史や国につい
ても)身近に考えざるをえなかった著者。

特に著者自身の渡航体験から描かれた第二部は、等身大
の若者の感覚があふれ爽快感すらあります。

2008
10/16
Thu

現代的な美しい日本語で書かれていて読みやすい

[No.25] posted by gon

中国残留孤児という言葉が出来る前に、文化大革命の真っ只中、日本に何とかして帰国した、青年、その青年が帰国後結婚して、生まれた娘が、父の育った故郷まで行ったり、資料を元に
その父親の半世紀を追う。なんだか難解な日本語で書かれていて読みにくいかなあという危惧がありましたが、そても読みやすく、一気に読んでしまいました。

きっと多分、残留孤児の皆さんは中国に苦しく苦い思い出があって、帰りたくないだろう、思い出したくもないだろうと勝手に想像していたのですが
作者が接した、父の中国時代の友人や村の人など、みんな暖かい、一緒に苦しんできたからなのだろうか、また、この父親が中国人になりきって頑張ってきたからなのだろうか
また、彼と養父母の絆が凄い。

悲惨な時代の話なのに、とても心温まる話に仕上がっている。
30歳の日本に生まれた日本人の娘を通して語られる

中国からの帰国運動が盛んだった時、テレビに映り、戦争被害者だと訴える中国残留孤児を
少しでも非難する気持ちがなかったか、自分を振り返ってしまった。

2008
10/13
Mon

読み応えアリ

100.0% (1 / 1)
[No.24] posted by テツカッチン

中国残留孤児である父の数奇な人生をたどる著者渾身のノンフィクション。中国と日本、三世代に渡る親子の物語。はじめは残留孤児二世であることに抵抗を感じていたものの運命の糸にたぐり寄せられる様に中国に留学する著者。そこで著者は父の壮絶な前半生、養母と父の実の親子以上の関係、現地の複雑な対日感情に触れる。
ガツンと重みのある内容で読み応えあります。

2008
08/23
Sat

同世代の方々にぜひ

[No.23] posted by mgm

読み進めるごとに胸が熱くなりました.
著者と同世代の私たちは、父、母、家族の人生についてどれだけ知っているでしょうか.
著者は長い年月をかけて、父親が体験してきた未曾有の人生を丁寧に掘り起こし、
文章に表してきたということが、この本を読んでひしひしと伝わりました、
著者が私たちと同世代ということで、尊敬の意味を込めてこの本をお薦めします.

2008
03/18
Tue

価値のある本でした。

50.0% (1 / 2)
[No.22] posted by ロッキー

著者の父上が、山崎豊子原作「大地の子」ドラマ化ビデオを
何度も繰り返して見ておられ、実際はもっと悲惨だったと
語られる姿に衝撃を受けました。
そして帰国後、実の両親が残留孤児であった著者の父上に
対して、自然な愛情を注ぐことが難しい現実を知り、
戦争のむごさを思いました。

2008
01/20
Sun

中国と日本の歴史を今一度考え直したいと思った本

100.0% (1 / 1)
[No.21] posted by ゆめ

日本と中国にはこんなにも悲しい歴史があった事を
他人事のように思っていた自分がいた。
本はみんなのレビューが物語っているように、自分の歴史観
ルーツ、政治的なもの、色んなものを考えさせてくれた。
中国残留孤児の人々のご苦労が本当に
涙なしでは読めませんでした。
大地の子ももう一度読み比べてみようと思いました。
知り合いには是非読んでと勧める1冊になりました。

2008
01/07
Mon

日本と中国を考えるときに欠かせない本

100.0% (4 / 4)
[No.20] posted by ノーツオンザロック

2007年最後に読んだ本書がベストとなった。心地よい感動に胸が震え、涙があふれるのをとどめることができない。

残留孤児の父親が、日中国交前、文革真っ只中を28歳で奇跡の帰国を果たすまでが第一部。普通の日本人として育った筆者が、惹かれるように中国に留学し、父親の故郷で手厚い歓待を受けるルーツ探求の自分自身の物語が第二部。中国への家族の往還、中国残留孤児への支援活動や軍人恩給問題という現代をからませながら、自らもシベリアに抑留された祖父の軍人としての前半生を追ったのが第三部。

「ワイルドスワン」と同じように3代にわたる物語だが、これは完全なノンフィクションである。筆者によりひとつひとつ紐解かれ、自身が体験していく真実は、フィクションを超えてこれほど感動を与えるものなのか。しかも、筆者の気負いもない曇りのない純真な眼は、淡々とした筆致にもかかわらず、何の躊躇もなく鮮やかな事実を描き出す。

父親に刷り込まれた中国の寒村の貧しさ故のさもしさや、世代各々にその時代に刷り込まれた「日本鬼子」への差別と偏見、年を追う毎に変化していく中国の景観や人々の風情など本当に素直に描かれている。おそらく「不都合な真実」ゆえにあまり語られてこなかった満州国軍とそこに属した日本人という実態も本書で初めて知った。「外国の軍」に属した日本人への軍人恩給の支給を当初拒んだ国の建前と、「国のために尽くしたのに」という本人たちの意識との溝は、「あの戦争」の深部に埋没していたのだ。

「あの戦争」とその後の日本と中国について知りたいと思うときに、何ら政治的、思想的、人種的なバイアスのない本書は本当に奇跡のようだ。

2008
01/06
Sun

涙なしには読めない、感動の実話。

85.7% (6 / 7)
[No.19] posted by tanasumi

たまたまNHKの週間ブックレビューという番組で取り上げられたのを見て、購入し読みました。期待以上のすばらしい内容に圧倒されました。第一部では、語られる事実の凄さに圧倒され、著者の父親の生き様に息を呑みました。第二部、娘である著者が父のルーツを紐解いていく、一部で読んだ事実に着実に近づいていく若い著者の足取りにまた新たに感動しました。最近読んだ本の中で一番心に残った本です。事実の重みと著者の筆力に感嘆しました。是非多くの人に読んでもらいたい1冊です。

2007
12/21
Fri

2007年のベストワン

77.8% (7 / 9)
[No.18] posted by od-880

素晴らしい本でした。『散るぞ悲しき』の梯久美子さんや、久田恵さん、星野博美さん、といった大宅賞作家の方々が絶賛している帯を見て購入しましたが、評判どおりの傑作です。冒頭の、映画のワンシーンのような印象的な描写から、ラストの感動的な一行まで、引き込まれるように一気に読まされました。いまも感動に酔っています。10年がかりで取材・執筆されたとのことで、ひとりの書き手が、その存在を賭してものしたノンフィクションというものの凄みを感じました。近年、若い世代の書き手による戦争モノのノンフィクションがいくつも刊行されていますが、この作品は群を抜いています。「中国残留孤児」についての本と聞いて、自分には関係ないこととして読むのを躊躇してしまう人がいたら(かくいう私自身もそうでした)、そういう人にもぜひ読んで欲しいと思う作品です。この本には、人間の普遍的な愛と絆の物語があるからです。

2007
11/27
Tue

第3世代によって語り継がれた「満州」

81.8% (9 / 11)
[No.17] posted by tomo1943

満州に渡り、終戦直前のソ連参戦を機に悲惨な経験を余儀なくされた親の世代がつぎつぎと鬼籍に入り、その子どもたち(評者もこの世代です)も高齢になりつつある今、更にその次の世代=第3世代により書かれた本書。まさに「語り継がれた満州」の秀作です。

第1部は、著者の父=中国残留孤児が、満洲の地でいかに孤児となり、文革下でいかにして成人したか、日本国籍を選ぶことにより大学への道が閉ざされるなか、1970年という「早い」時期に(この時期には「満州孤児」と呼ばれたが)いかにして自力で日本帰国を実現したか。それらを軸に、父の半生を追ったノンフィクションです。養母の心をも見事に描いています。子どもが父親の足跡を追ったことで父を慕う娘の情愛がほんのりと漂った反面、リアリズムを貫いたことで印象が強く深く残ります。

第2部は、第1部とセットになっていることも含めユニークです。つまり、第1部を書いた著者が、いかに父の跡を追うようになり、実際にどのように追ったかを跡づけます。

このような「満州本」は、今までにありませんでした。何よりも、第3世代に「満州」がしっかり受け継がれていることを示してくれます。そのことは、日本の戦後史にとってとても重要なことです。これからも、第2世代が第3世代に向けて語り継ぐことに加え、第2,第3の「城戸久枝さん」が現れて、先行世代の経験を消化・摂取して継承していただきたいと強く思います。


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