- [著]白田 秀彰
- カテゴリ:
- 新書 (212頁)
- ISBN:
- 4797334673
- 発売元:
- ソフトバンククリエイティブ (2006/07/15)
- 価格:
- ¥ 735 (税込)
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まさに法学入門。素晴らしい一冊!
「ネットワーク」に関する法についての入門書ですが、タイトルに惹かれて手に取った方が一応注意しておいた方が良いと思うのは、本書の内容は個別具体的な法律上の問題や条文の解釈という実定法学的なものではなく、そもそも「法」や「規範」って何?といった疑問から始まる法哲学や法制史等の、基礎法学的なものであるというところです。
つまり、この本を読んでネットワークを使った実生活がガラリと変わる・・・なんてことはまずありません(笑)
ただし、間違いなく面白い本ではあります。
初めの50ページぐらいは「法のねっこ」の解説に割かれていますが、ここを読むだけで一般的な法学部生レベルの基礎法学に関する知識のエッセンスは得られるのではないでしょうか(あくまで個人的な感想です笑)。
また、著者は情報法と知的財産法を専門に研究している学者でありながら、本書はあくまでエッセイであって学術論文用に書かれた文章ではないため、フランクな文体で書かれていて非常に読みやすいです。同じ内容を法学の教科書で学ぼうとすれば3倍は時間がかかるのではないでしょうか。
そんな素晴らしい本が新書で出ているのですから、「新書ブーム」なんてのも捨てたもんではありません。
久しぶりに☆を5つ以上つけたい本に出会いました。
インターネット社会形成を考える
Hot Wiredの連載はいつも読んでましたが、本になると一気にまとまった感じがします。
文章も軽快で、全体を通してすごくわかりやすかったです。
「法」とは何かというお話も、硬くなく、自然に頭に入ってきます。
インターネットにおける、新しい社会形成において、次のステップを考えるちょっとしたきっかけを与えてくれる本でした。
タイトルに騙されてはイケナイ。
この本は現行法のインターネット上での適用事例をまとめたものでもなければ、
ネットワークの法整備を求める本でもありません。
作者が学者であることも考えない方がいいと思います。作者自身が「コンピューターオタク」で「変人」と自称していることですし。
肩ひじ張った文体ではなく、話も何度か脱線し、2ちゃんねる的な言説(?)も散見されます。
前半で、法と法律の歴史・成り立ちを英米法と大陸法との対比から、
「法」の「正しさ」の原点は慣習やモラル、文化から生ずると説明しています。
後半では、現実世界の利益代表者(国家権力)が介入してくる前に、
ネットワーク上における紛争や問題の解決するため、
名=固定ハンドルの使用が常識とされる文化を醸成すること、
そしてネット上での人間同士の交流のプロトコル(典礼)の創造することによって
規範、秩序を定着させることを読者に提案しています。
「『なんかヘン』という政治的な問題意識がありながら、政治に対する無関心が広がっていること」
「『なんかヘン』を政治的言説に置き換える力を持った(議論のできる)場をネットに作れるのではないか」
一般的な法律の問題からは少し飛躍的な議論ですが、著者の語る問題や提言に対して納得できる、共感できるところが私にはたくさんありました。
評価が分かれるのも理解できる
以前から漠然と思っていたことに、かなり明快な「骨組み」を示してもらった1冊です。一時は自分でもこの本のような内容を書きたいと思っていたぐらいですが、門外漢が書くよりも、やっぱり中心的関心を持ち続けている方が書いたほうが、分かりやすくてポイントも的確になっていいですね(笑)。
文体が柔らかなのも、さらっと通読できるという意味では良い印象です。この種の本は、機会があるたび何度か読み返して、自分の思考を固めるような読み方をしたいものですから。
ただ、「ネットという場」そのものの特性に強い関心を持っている私のようなタイプには高評価できる内容も、タイトルを見て「具体的な事例分析」的な本を期待していた向きには「つまならい」と評価されそうな本であることもまた確かです。そういう意味では、読む人を選ぶのかもしれません。
損した気分
読み始めて5分で、読み辛い、と思った。読んでいる最中は何度も欠伸をかき、読了までひどく時間がかかった。それは決して、僕が法律に明るくないとか、そういう理由ではないと思う。内容がどうこう言う問題ではない。
まず気に入らないのがその文体。内容はもともと著者のブログから来ているという。詳細に丁寧に解説してあってほしいインターネットと法律について、およそ様々な点から解説がなされているのだが、それと驚くほどミスマッチな軽やかでフランクな語り口調。しかも長い文や分かりにくい倒置文も多く、おかげでスムーズに読み進めることができない。これをブログで読むなら、きっと特に問題は感じないだろう。ただ、(加筆などは適宜しているそうだが)書籍向きとは到底思えない。金が勿体ないとすら感じる。
それから、余りにも多い「〜と思う」。著者はまえがきで、本書は「随筆」だと述べているが、それにしたってあらゆることが著者が「思う」ことばかりで、では本当にそうなのか、実際はどうなのか、ということが分からない。読了しても「なるほど著者はこう『思う』らしい」という理解しか残らない。サブタイトルは「かなり奇妙な法学に関する持論」とでもしてほしいぐらいだ。
読了して得た有用な知識というものはあまりない。しかし再読するのは疲れるだけなので遠慮したい。
最後まで何がいいたいのかわからない
まず気になったのは、法政大学の助教授なのに、「らしい」、とか「よくわからないけど」、みたいな表現が多いこと。一応学者ならこういう表現を避けたほうがいいのでは。
内容は、ネットの世界での法的統制を構築するにはどうしたらいいのか、みたいな議論を立てようとしているみたいだけど、結局結論ないままに終わっている感じ。
現実世界の法と、ネットの世界を比較する上で、ところどころ参考になる点はあるけれど、タイトルから期待されるほどの内容はない、と思います。
すがすがしぃ気分
英米法と大陸法といった、法慣習の違いを最初のページで割かれており、
まずは法のの歴史について書いている。
そのあと、ネットワーク時代における法律とは”こう”あるべきじゃない?
っと問いかけ、体系的に纏めていこうよ。っという話しの落とし方をしています。
筆者はほとんど断定した文章の書き方をしていない為、
気持ちよく読める本でした。そのくせ、上記のように主張はわかりやすい。
清々しい気分です。
インターネット世界秩序を形成する政治家出現を待ち望む
この本は、インターネットの世界でおきている法的問題を解説している本では無くて、「知的財産権万歳」の現在のインターネット法秩序を批判し、「インターネット世界の法的秩序をみんなで形成しようよ」と読者にうったえている本です。秩序形成のモデルとして、イギリスの法的秩序が、多くの人が議論に参加して形成されてきた過程を解りやすく解説し、「そもそも法的秩序は沢山の人が参加した議論からできたのだから、みんなで議論してインターネットWorldの全く新しい法的秩序をつくろうよ」と白田先生はおっしゃられている訳です。私のような基礎的法学には門外漢な者にとっては「法的秩序ってみんなで作ってきたものなんだ。だからみんなで作っていって良いんだ。」という先生の主張は、非常に新鮮で、わくわくします。また、歴史的背景からこのように法学を説明していただくと本当に良く解ります。法的秩序を作っていくために、「現在のネットワークが享受している自由を維持しつつ、秩序=法を成長させるためには、最小限の規範として、ほとんどの場面で固定ハンドルを使うという「文化」をネットワークにおいて定着させるしかないp.91,92」と先生は言われていますので、私もこれからはネットワークにおいて固定ハンドルを使うことにしようと思います。この本と併せて、「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる:梅田 望夫著」を読むと、「みんなで法的秩序を作っていく」ことが「実際にできそうだ」と実感できます。(ちなみに、本の内容は素晴らしいのですが、文章で主語が欠けていて誰の意見なのかわからない部分があるなど、編集に大部問題有りです。PC系出版社の編集には、そこまで労力をさいて読者に配慮する「文化」が無いのかもしれませんが・・・。読者は「あれ、これ誰が言っているの」と考えるうっとおしい作業を覚悟する必要有り。)
ネット世界の法は未だ中世のレベルにあるようです
現実の世界は法治国家であり,何でも法律を基準に解決することになっています.この法律というものも,議会で審議されて制定されたものと,いわゆる判例が法として扱われるものがあるそうです.
インターネットの世界では,現実社会における法律が適用されるのですが,まだまだ追いついていないのが現状でしょう.かといって全くの無法状態というわけでもなく,それぞれのコミュニティーでのルールが存在します.言うなれば中世世界の状況に似ているようです.
このようにインターネット社会における法律論が展開されており,ネットが抱える法的な問題や今後の発展を考える上で参考になるのではないかと思います.
真っ当な法学入門
おすすめの理由は次の2点。1つ目は、大概の法学入門といえば冒頭に「大陸法はローマの成文法の流れを受けて…」てな感じで読者を睡眠に誘うのがお馴染みですが、本書は現代アメリカ人の法意識に判例法主義がどう影響しているか、というように法の歴史的背景を僕達の身近な現象にリンクさせるのに成功しています。2つ目は、僕達を取り巻く政治的環境が結構ヤバイことを伝えてくれている点。議会のコントロールが及ばない怪しげな国際機関が憲法を迂回する形でネットに強い規制を敷きかねないこと、それへの対抗策をとろうとしても、多くの政治家や市民団体はルーティンを繰り返すだけで影響力を行使しようとはしないこと…著者はネットユーザ一人一人が「騎士道精神」に目覚め、その代表を政治過程に送り込むことを示唆しますが、その道のりは相当ハードなように感じます。
著者ご本人は「奇妙な」とおっしゃいますが、なんのなんの「真っ当な」本ですよ。
