- [著]速水 健朗
- カテゴリ:
- 新書 (224頁)
- ISBN:
- 4797344997
- 発売元:
- ソフトバンククリエイティブ (2008/02/16)
- 価格:
- ¥ 735 (税込)
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「自分探し」の落とし穴に転落しかかっているあなたへ
「自分探し」というものが、自己啓発と同じく一種のドラッグ、あるいは宗教的なものとして作用している現状を指摘しています。また「自分探し」の落とし穴に一度転落すると、そこからはなかなか抜け出せなくなってしまう点も強調しています。
「自分探し」の落とし穴に転落しかかっている方は、転落する前にぜひご一読されることをお勧めします。
自分探し真っ最中の人には理解できないかもしれないけど
著者より少し若いけれど、ほぼ同世代(むしろ就職氷河期の度合いはより酷く
なっていた世代)の私には非常に共感するところがあった。
アジアの貧乏旅行もベタにやってしまったし、いまだに「自分を磨く」習い事に
いそしんでしまう、そんな自分も「自分探しがとまらない」人の一人だと自覚を
しながらも読んだ。中田選手の「自分探し」に「さむい」と反応しながらも。
上の世代の「自分探し」にはあきれるけれども、自分のやっていることも
形の違う「自分探し」とみなされそうだという葛藤。
大学時代からのモラトリアムが本来だったら就職している年齢でも続いている
「自分探し」世代。著者自身が卒業後一度も会社員的なポジションは経験していないと
いう。自分自身も似たような立場にいる人間による自分探し批判論。
「ニートなんて甘え」「それでやっていけるからニートになってるんだから
親がもっと冷たく斬り捨てないと」というワイドショーのコメンテーター的意見ではなく
彼らを取り巻く「なぜ引きこもりや外こもりしかできないのか」という状況を
解説し、その上で「自分探しビジネス」「自己啓発という宗教」を正面から批判する。
30代半ばになり、自分も一通り通り過ぎてきたからこその批判。是非これは
青臭い情熱に肉体も精神も取り囲まれている学生さん(や、その頃の気持ちからいまひとつ
抜けきれない人)に読んでもらいたい。そしてわかった上で人生を踏み外さない程度に
「自分を探して」もらいたい、と思う。
しかし、情熱の渦中にある人には著者の気持ちは届かないだろうな。
「理由をつけたがって行動をしない大人にはなりたくない!」的な見方をされて
しまうのだろうな。本当に読んで欲しい人に届かなそうなのが残念。
流行の「俗流若者論」に、「自分探し」ってネタを流し込んで「一著」挙がり
『ケータイ小説的。』が面白かったので、同じ著者のこの本を遡って読んでみたのだが、その前に後藤和智の『おまえが若者を語るな!』を読んじゃったせいで、いろいろ気になる点が多くて乗り切れなかった……と言うか、たぶん後藤本を読んでなくても、論証にかなり難があると感じたと思う。
あとがきで著者は、「本書が生まれた経緯」に触れていて、「当初の企画は、終身雇用や会社中心主義が崩壊した社会における、新しい労働スタイルを取材して歩き、まとめてみるというものだった」と述べている。いかにもライターさん的な、安易なスタート。だから当然、「その企画は途中で行き詰った。現代の新しい労働スタイルなど、あまりに現実味がなかったのだ」…そうだろうナー。
「そこで、もっと現実的な方向に企画を変更した。終身雇用や会社中心主義が崩壊し、就職状況が悪化した中で自分探しに迷い出した団塊ジュニア世代の滑稽な姿をまとめてみようというものだった」……なんか、この新書シリーズの志の低さが窺えるような、やっぱり安易で不純なスタートじゃない? 著者と編集者が、「こういうハナシって、イケそうじゃない?」「ソレ、ソレ、ソレで行こう!」みたいな打ち合わせをしている舞台裏が透けて見えるような……「こんな若者には、もううんざり」っていう帯のキャッチも、ヤな感じ。
ただ、それでも本書が辛うじて読ませる内容になっているのは、おそらく次の1行に理由がある。「自分探しに迷う若者の姿であれば、目の前にいくらでも転がっていた。いや、鏡を見ればそれで済んだ」。つまりこの本は、著者の自分語りであるワケだ、ウン。
ま、習作ということで。
博物的な興味でしかない
本質的な思索とかではぜんぜんなくて、
単に事象の羅列でしかない。
ここで述べられているようなことはだいたいみんな知っていると思います。
さらに問題なのは、社会環境の視点が欠けていて
現代の若者の精神になにか問題があるかのような書き方になってしまっていること。
「自分探し」的な現象はバブル経済の崩壊によって、
若者の雇用が激減したことが最大の理由であるはずなのに一切そういう指摘がない。
精神にすべてを求める姿勢は納得いきません。
フェアではない。
百歩譲っても科学的ではないと思います。
昔からあった自分探しが何か変に先鋭化している
自分探しは大昔からあった。たとえば「人はパンのみにて生きるにあらず」という聖書の言葉は有名だ。
でも、本書を読んで分かったのは、最近の自分探しは何か変だということだ。
宮台真司的に言うと、人間がタコツボ化したことで、自分探しもオタク化しているのではないか。つまり、「自分探し」が特化して、偏差値的な感じで行われているということだ。いろいろな経験を経て初めて「自己」が確立されていくというプロセスが大事なのに、いきなり高得点を狙う感じだ。
したがって、自分探しを商売のネタにする中田某など最低である。サッカーという「自分」がありながら、それを辞めて旅に出るなんて、カズを見習えよ、と言いたい。
時代の潮流をさらっと流す本。
「自分探し」をする若者とそれをとりまく社会構造を著者なりに示した本。基本的には事実の羅列(いわゆる、バックパッカーの教祖と呼ばれる人々)や、近年の事件(イラクの日本人殺害やオウム真理教などの宗教など)を結びつけて、若者の生態と陥りやすい罠(これは商業的な意味合いもある)を読み解いている。
個人的には可とも不可ともいえない感じ。確かに「自分探し」をする若者につけこんで、ビジネスをはじめてしまうといったことには憤りを覚える。
つまり、もちろんうなずける箇所もそこそこあるが、総じてあまり日本の未来を明るく照らすような内容ではない。若干あいのりの話なんかはくどい印象も受ける。
これがすべてと思わず、時代の潮流の片鱗、とくらいおもっておけばいいのかな、と思う。
しかあし、タイトルはいけてると思います。
「自分探し」を否定する人のための自分探し本
私 はインドには4ヶ月いたし、中国には2ヶ月欧州とアフリカ合わせて2ヶ月。バックパッカーで世界を旅した。私が生まれる前の時代に比べて海外、特にアジア旅行は格段 に安いのだ。日本を旅行するよりも楽だし安いし、他にやることも無かったのでふらふらしていた。
この話を10〜20歳上の方にするとよく 「自分探し?」と問われる…。たまに呆れる。私の趣味での旅行にそういうことは完全になかったとはいえないけれども、すべてがそれで説明できるなんてことはない。単にそれは要素の一部でしかない。そしてそれはすべての行動に対して言える(一つの行動がさまざまな心の要素の複雑な組み合わせで 構成されてはいないと言い切れるだろうか・・・)。
自ら「自分探しの若者像そのもの」という著者は、さまざまな例を出し「自分探しの若者像」を描いている。これは実は分かりにくい。例えばオウム真理教の麻原やカルト、ニューエイジなどの例を出すことによって暗に否定的な感情を読者に与えることに成功している。しかし、このように全否定をしていながら、「自分探し」 以外の選択肢をまったく提示していない。いじめのような構造になっている。完全に安全な外部から否定しているのだ。これはひどい。
現実は複雑な要素の構成物であって、その要素の一つをそれ以外から切り離して否定してしまうと、そのときは良いが、それ以外の部分にもその要素は含まれているわけだから自らの他の行動に矛盾が生じること になる。
社会構造は変化している。新しい(というと又終末思想といって否定されてしまいそうだが、日常会話で使う単純な意味で)社会にぶちあたったら、違うリアクションを取ることになるのは当たり前のことだ。
単に否定しているだけでは、否定している人たちがへんな優越感に浸って悦に入る以外、意味があまり無いのではないかなと思う。
「自分づくり」との区別
社会現象にもなっている「自分探し」の一つ一つを細部まで分析しているのは一読に値する。自分の行動や価値観を見直す良い機会になった。
ただ、読んでてずっと違和感を感じるところがある。
「自分探し」の定義が広すぎることだ。
このキーワードを使ったら最近の社会(流行)現象ほとんどがヒットする。「ハルマゲドン2.0としての梅田望夫」って章を見た瞬間はネタ本かと思ったぐらいだ。
この本によれば、各種ビジネススキルやライフハックも広義の「自分探し」に当てはまる。しかし、問題視すべきは、それらの方法論に「銀の弾丸」を求める甘えた姿勢であり、本質を忘れてしまうことである。境界を求めるつもりも無いが、ビジネス的に認知された言葉でカマフラージュされた精神世界や神がかり的なものに救いを請うようなものとひとくくりにしてほしくない。改善や仕事の動機付けといった取り組みは、ビジネスなどの社会活動の基本であり、それを推進するための姿勢(「自分づくり」と呼ぶべきか。)を否定してしまっては、本当に生産的な人の歩みを緩めてしまいかねない。
「成功」へのアプローチとして提供されている「自分探し」市場は大きく広がってきている。そこに救いを求めてしまう人を落とし込むような、各種自己啓発セミナーや「自分探しホイホイ」も注意すべき存在だ。そういった問題に警鐘を鳴らす意味で興味深い一冊と言える。
かなり面白いです。
会社中心主義の崩壊。現代社会に適応できない若者が物質世界を非難して、ほんとうの自分像を精神世界に求めるのは、成熟した資本主義社会の大きな潮流であること。精神世界の「自分探し」にさまよう善良な人々を顧客として捉えたオカルト的マルチビジネスの存在。具体例をあげ、他の文献を多く引用して客観性を持たせる構成もよく、「そうだよね〜(笑)」と共感しつつ、ただ、ただ痛快です。
PS 地に足つけて実直に生きている若者もちゃんといますよね。あと、最近書店で陳列されてないようだけど、品切れ中? それもと具体例で取り上げた各方面から圧力がかかったのかしら・・・
自己啓発の本とあわせて服用するのがおススメ
自分探し、自己実現ブームの起源と現状が
詳しく書かれていました。
大学の先生では、なかなかここまで
実態をつかみきれなかったのではないかと
思われるところまで、カバーしていると思います。
自己実現ということが、どのように
ビジネスの商品となっているのか?
あるいは、企業の人材活用、育成に利用されているのか?
ここらへんの視点は、冷静に持っておかないと
ただ利用されて使い捨てにされてしまう可能性があるので、
重要だと思います。
自己実現を目指さない?普通の人生とはどういうものなのか?
そこらへんももう少し論じてもらいたかったとは思います。
