- [著]木村 元彦
- カテゴリ:
- 単行本 (238頁)
- ISBN:
- 4797671084
- 発売元:
- 集英社インターナショナル (2005/12)
- 価格:
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これは語録本ではない。
確かにオシムは日本人には幾分奇異にも感じられる数々のウィットに富んだ言葉を残したが、本書はいわゆるスポーツ選手やその他著名人の語録を集めた本とは明らかに一線をかくす本である。その内容は戦争の悲惨さや愚かさを生々しく伝える本である。
若い人たちが本書を”勘違いしてでも”手に取って読んでくれることを切に願う。
オシムが日本に今、いるということ
実はサッカーは、日韓ワールドカップすら見なかったくらいのサッカー音痴なのですが、するりと読めました。オシム監督は、サッカーチームを創造することによって、自分がよいと思うものをサッカーで、サッカー以上に体現していたことがすごくよく伝わってきました。
すっかり、オシムのファンになってしまい、いろいろな本を読んでいるのですが、一番最初にこの本を読んでよかったと思います。いつか、日本を去るのかもしれないけれど、今オシムがここにいるってことの意味を大切にしたいと思いました。
祝・日本サッカー協会アドバイザー就任。ブームが去って今なら安く買えますよ。
今ならマーケットプレイスでずいぶん安く買えます。送料の方が高いくらいです。
脳梗塞から復帰し、とりあえず日本サッカー協会のアドバイザーに就任しましたね。協会としても、日本のサッカー界に引き止めておきたかったのでしょう。「ベンチに座りたいが、ベンチで死にたくもない」とオシム節は健在のようです。 また、昨今の日本代表の試合を見る限り、最近のヨーロッパのスピードと運動量と戦略で魅せるサッカーには依然ほど遠い現実であることに気づく。日本代表の監督ではなくなったが、日本はまだオシムを必要としているように思われます。
本書は元々ベストセラーを狙って書かれたものではなかった筈ですが、オシムの代表監督就任と共に一気に有名に。しかし、発売から2年以上経ち、当のオシムも倒れて代表監督を辞めることになってしまい、この本も注目を浴びることは無くなった。でも、興味深い内容であることには変わりなく、一時印税狙いでたくさん出てきた他のオシム本に比べても、この本は依然ベストの一冊だ。
本書を読む限り、ヨーロッパでも幅広い人脈を持ち、尊敬を集めている人柄や理由があらためて良く伝わってくる。これだけ多くの苦難や数奇な運命を乗り越えて独自のサッカー理論と練習方法を確立して若手を育ててきた人だ。オシム・ブームは去っても、この人はこのままでは終わらないと思う。「(倒れた後も)私が何者であるかを忘れないために、サッカーを見続けていた」というオシムの今後の日本サッカー界へのいろいろな形での貢献を期待したい。特に本書にあるような、優れた若手の育成という点で、この人はまだまだ日本でやって欲しいと思った。
ものすごい名将!
目が覚めるようなサッカー理論に
興奮して読み進められる本。
一言でいうなら、徹底した走るサッカー。
走るサッカーだからこそ、身長や体格に関係なく、
無名選手集まる弱小チームが強豪チームに早変わりする。
実際に弱小チームを常勝チームにした実績を持つ。
そのためにスター選手の起用など優先せず、
チームのためにならない選手は使わない徹底ぶり。
若手起用を重視した長い眼で見たチームの育成方法。
奇異に見える言葉や練習法なども、
聞けば納得するシンプルな理論に裏打ちされている。
サッカー好きの方はぜひ手にとって読んでほしい一冊。
コンキチ&ナターシャの絵本ナビ
「イビチャ・オシムの流儀 日本代表新監督の哲学と品格」
というドキュメントを見た、以前TBSで放送されたもの
らしいがこの元日本代表監督の美しい言葉でミストのように
心が溶かされ、優しい気持ちになりました!
タイトルで検索すればすぐ見つけられますのでサッカー
ファンの方はこの本と同様に探してみてください!
彼の祖国ユーゴスラビアは多民族国家であり、その統治の
難しさは7つの隣国6つの共和国5つの民族4つの言語3つの
宗教2つの文字1つの国というような多民族国家の中
サッカー選手として順風満帆な前半でしたがW杯時の監督時代
内戦によって国家は分断され家族は別れ別れになり苦難の末
数年後に再会します。
彼はどの国に言っても弱小のチームから育て上げるのが
好きらしく自信と結果をもってファンに愛された監督
でした、JEF市原もそんなチームで今でも選手や
サポーターから愛されています、無論私自身も彼の
ファンで、そんなオシムが脳梗塞で倒れ代表監督を
離れましたが、今になってこの監督がいなくなった
寂しさが湧いてきたのです、世の中に素晴らしい人間は
沢山いますが、こんなに愛された人間はいないのでは
ないでしょうか、言葉で説明することは難しい。
再び元気になって指導して欲しいという気持ちも
ありますが、どうかこの国に滞在した日々が楽しい
ものであったならと、願わずにはいられません。
この本は皮肉屋のオシムが残したサッカー選手への
エールとして読みました、素晴らしい言葉の数々です。
オシムの「信念」
現在、脳梗塞からの回復途上のオシム前日本代表監督のジェフ千葉時代までの逸話を綴ったもの。題名は「オシムの言葉」となっているが、何も有名な試合後のユーモアと皮肉に溢れた言葉だけを扱っている訳ではなく、オシムの人生観とも言うべき信念を論じている。
まずは、ジェフ就任一年目の話から入り、選手に「走る」事を求めた経緯を説明する。自身のプレーだけではなく、チームのために動ける選手をオシムは要求したのだ。最初は抵抗した選手だが、結果が出ると次第に選手はオシムのやり方を信奉するようになる。この頃の、試合後のオシムの談話が有名となるが、これはオシムの生まれと深い関係にあったのだ。オシムはボスニア生まれ。ユーゴ崩壊後の民族紛争は現在でも続いており、現在はコソボの独立問題で揺れている事は周知の通りだ。オシムはユーゴ時代に生まれ、ユーゴの代表監督にもなったが、この時もどの民族の選手を起用するかでマスコミから相当なプレッシャーを受けたらしい。「アイデアとユーモアがなければ生きていけない」と言うモザイク国家に生きるオシムの言葉は胸に響く。オシムは周囲のプレッシャーに負ける事なく民族に関係なく選手を選んだし、スター選手に偏る事なくチームのために"汗をかける"選手を選んだと言う。これがチームのためにも国家のためにも良いと言う信念である。
「アイデアがなければ」と言う信念をオシムはサッカーにも適用し、自身のプレーをした直後の動きを常に考えている選手をオシムは重用する。これがジェフでの最初の練習に繋がっている。縁があって親日家となり、日本の代表監督にまでなったオシムの信念に我々は感謝すべきであろう。頑固そうに見えるが、ユーモアと風刺のセンスに溢れ常に周囲に期待感を持たせるオシム。病魔にも打ち勝って欲しい。
感銘を受けた傑作。
少年期から指導者の指示を一方的に仰ぎ続け、受動的に振る舞うのが普通だった日本サッカー界に旋風を巻き起こした代表例、それがオシムではないでしょうか。「考えて走る」「指示された事だけにこだわるな」などなど、海外では当たり前な事がまだ日本では根付いていなかったという事でしょう。思えばジーコの指導法も、これに準ずるものだった気がします。トルシエの頃からのメンバーを引っ張り過ぎて新戦力が少なかったのは減点ですが、選手に大した指示を与えない=自分で考えて能動的に振る舞え、という暗黙のメッセージだったのでは?ただ、南米ではそれで通じても日本人にはまだまだ具体的な説明が必要で、そこを改善したのがオシムだと思います。「海外サッカーの模倣も悪くないが、やはり日本サッカーの日本化が何よりだ」との彼のコメントも、ただ海外のトッププレイヤーの様々な技やプレースタイルを模倣する=受動的に振る舞うのではなく、そこに少なからずとも自分たちのオリジナリティを付加して=能動的に振る舞って、日本人のストロング・ポイントを活かしたサッカーを目指そうという事でしょう。岡田監督のコンセプトもこれを継続するようですし、今後の日本代表に期待します。
フィクションを軽く越えるドラマ
ジェフの監督であった頃からメディアへの対応を見てイビチャ・オシムという人が気になっていた。本質的な意味で頭のいい人だなあというのが印象だった。『オシムの言葉』がベストセラーになっているのは知っていたが、JEF のサイトの「オシム語録」みたいなもののだろうと、敬遠していたのだ。しかし、少し立ち読みをしてみて、全然違うものであるのを発見して、買って帰った。
実際のところオシムの「言葉」がそれほど沢山収録してあるわけではない。むしろ、オシムの伝記というべきものである。イビチャ・オシムのこれまでの人生、サッカー監督としての輝かしい経歴と、サラエボ生まれとしての苦悩に満ちた人生の記録である。前者の部分も、オシムの素晴らしい指導力、教育力がいかなるものか、メディアをいかにコントロールしたか、大変面白いものである。これは、現在 JEF の監督して遺憾なく発揮されているので、我々は目にする機会も多い。しかし、彼が波瀾万丈の人生を粘り強く生きてきたことを私は知らなかった。
一番深く印象に残ったのは、チトーが死んでユーゴスラビアが崩壊する時の民族主義というか国粋主義がコントロールできなくなる過程だ。何事もなく一緒に住んでいた隣人が突然憎み合う、または、憎み合わざるを得なくなる状況、その中で監督してなんとかユーゴスラビア代表チームをまとめていこうとするオシムの努力の記述には迫力がある。その中で、ユーゴチームは勝ち続けるのだ。そして、ユーロ92への出場を決めるが、オシムは辞任し、ユーゴチームは政治的理由で出場を拒否される。フィクションを軽く越えるドラマ。
ボスニア紛争についてまとまった話を読んだのは初めてなのだが、戦争を起こすのは、結局のところ、指導者ではなく大衆なのだという印象を強く持った。今話題になっている愛国心・郷土愛がこのような「ダークサイド」を持っていることをすべての人はしっかりと心に留めないと行けない。私も自分の中のダークサイドをしっかり見ていきたいと思う。
スタイルがいただけない
オシム監督の言葉は、そんなに収録されていない気がするのは私だけでしょうか。サッカー選手が具体的にどういうプレーをしたとかそういうことがたくさん書かれていて、その合間に監督の言葉が挿入されている。そういうスタイルで書かれているとは思わなかったので少し意外でした。しかしインタビューをもとに構成しているので、仕方ないことではあります。オシム監督自身による著作が読んでみたい気がします。
オシムの歴史。
90年、ワールドカップのPK戦でのエピソードに衝撃を受けた。
勝負を決める一蹴りに民族の想いがかけられており、
そのためにPKのキッカーを何人もが拒否するとは・・・。
記者会見などでのオシムの言葉が少しでも気になった方にとって、本書はとても興味深い一冊となるだろう。
