熊とワルツを - リスクを愉しむプロジェクト管理

  • [著]トム・デマルコ
  • [著]ティモシー・リスター
  • [著]伊豆原 弓

カテゴリ:
単行本 (238頁)
ISBN:
4822281868
発売元:
日経BP社 (2003/12/23)
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ソフトウェア開発のプロジェクト管理において、人間中心の独自の視点からユニークな見解を見せるトム・デマルコが、各方面で話題を呼んだ『ピープルウェア』でのパートナー、ティモシー・リスターと再びタッグを組んだ。今回のテーマは「リスク管理」。昨今のシステムの大型トラブルを持ち出すまでもなく、リスク管理の重要性はさまざまな方面で説かれてきた。しかし、「リスク管理」とは具体的にはどういうことを指すのだろうか。本書はその定義を明確にし、予測できないリスクを数値化する手法を紹介する。リスクを避けるのではなくリスクをとることによってしか、ライバルとの競争で優位に立つことはできないのである。

デマルコは、リスク管理を「リスク管理は大人のプロジェクト管理だ」(第2章)の一言で定義している。子どもは都合の悪いことを知らなくてもよいが、起こりうる悪い事態を認識し、それに備えるのが大人である。それこそまさにリスク管理であるということだ、と。プロジェクトにとって望ましくないリスクを半ば無意識に葬ってしまうことや、「間違えるのはかまわないが、不確かなのはだめだ。」(第6章)とする旧来的な企業文化は厳然として存在するが、デマルコは、「バラ色のシナリオだけを考え、それをプロジェクトの計画に織り込むのは、子どもっぽいとしか言いようがない。」(第2章)と言い切る。

とはいうものの、やはりリスク管理は難問だ。なぜなら、わからないものを数量化しなければならないからだ。本書では、数学的だが難解ではないグラフを用いて不確定性を具体的な数値に置き換えることで、不確定要素を有限なものとし、コストを最小限にすることを試みる。そして、最終的にはどこまでリスクをとれば価値に見合うのかの論理的な解説がなされる。リスクの正体と予測及び対処方法に関してひとつの指針が打ち出されたという点で、少なくともプロジェクトマネージャの地位にある人は目を通すべき1冊だ。しかし、本当に本書の内容を理解する必要があるのは、プロジェクトマネージャーのさらに上に立つ管理者や経営者かもしれない。(大脇太一)

2008
08/10
Sun

リスク管理とは

[No.21] posted by なか

デマルコさんの本はやはり読みやすいです。
プロジェクトのリスク管理について書かれた本です。

全体の構成は下記のような問いに答える形になっています。

第1部 なぜリスク管理をするのか。
第2部 なぜリスク管理をしてはいけないのか(体制が整っていない組織にリスク管理を導入することの逆効果をいくつか説明する)。
第3部 どのようにリスク管理をするのか。
第4部 組織はどこまでリスクを受け入れるべきか。
第5部 リスク管理手法が有効かどうかをどのように判断するのか。

特に参考になったのが、スケジュールのたてかたでナノパーセント日という考え方です。

2007
04/08
Sun

リスクを理解するなら、これ1冊で十分!

100.0% (1 / 1)
[No.20] posted by よこはま こうたろう

→もし、新任プロマネに3冊の本を薦めるなら、必ずエントリーする本
 私自身、数人のプロマネから読むことを薦められていましが
 今回始めて読みましたが、確かにスゴイ!

→「熊」という「リスク」に 喰われるのではなく
 「ワルツ」という「ゆったりと向きあいながら」、一緒に愉しむという本

→プロマネの難しい言葉や、細かい数字は出てきません
 事例も散りばめられているので、読みやすいです!

→リスクを理解するなら、これ1冊で十分!

2006
07/16
Sun

リスク管理の本質

57.1% (4 / 7)
[No.19] posted by やーまん

デマルコ、リスターの本ばっかり読んでいる
最近の私です。

だって、、おもしろいから。(^o^)/

この本では、従来おざなり(あるいは形骸化している)
ソフトウェア開発PJにおけるリスク管理について
言及しています。

このシリーズのいいところは
従来では「ソフトウェア開発の常識」といわれているところや
「現場でいっちゃならぬタブーなこと」について
バッサバッサと気持ちがいいくらいに論破しているところです♪

タイトルもイイ。
そう。リスクと向き合うということは熊とワルツをおどるような
もんですわ。

プロジェクト管理者(上司)によませたい、一冊(一殺!?)笑
ただ、理論がおおいかなぁ。。若干。なので☆4つ!

2006
06/09
Fri

何も起きるはずはない、と信じる権利は誰にもない

85.7% (6 / 7)
[No.18] posted by 丁三

トム・デマルコといえば、80年代から90年代前半にかけて活躍したシステムコンサルタントで、構造化技法(DFD法)の発案者としても著名だ。1987年刊の『ピープルウェア』はチームビルディングへの深い洞察を軽妙なユーモアで綴ったエッセイで、ソフトウェア開発者のバイブルとしていまも読み継がれている名著だ。

本書はそのデマルコの最近刊である。軽妙ユーモラスにして核心を突く警句の数々は依然健在だ。

リスク管理は「おとなのプロジェクト管理である(p15)」、とデマルコは言う。子供たちは普段、隣国の核兵器開発や治安の悪化、環境破壊などを心配しなくてもよい。が、大人はそうはいかない。子供たちを守るために、そうした「望まない結果」のことまで目を配って当然だからだ。このような巧みなアナロジーがリスク管理の本質を端的に指摘して新鮮である。

また本書には他に見られないユニークな方法論がひとつある。「ナノパーセント 日」という考え方である。

プロジェクトの完成予定日は実は確率分布である。まったく何の障害もなく完成する最楽観スケジュールと、どんなにひどくともここまでには完成する最悲観スケジュールの間のどこか。それが完成予定日の真の姿だ。もちろん、最楽観日に完成する確率はほとんどゼロ、すなわちナノパーセントである。「不確定性の幅は、その組織の開発プロセスにどれだけノイズがあるかで決まる(p67)」。にもかかわらず大半のプロジェクトはこのナノパーセント日を完成予定日にしてしまう。

リスクとは「望まない結果を生むかもしれないもの(p16)」のことである。人間は誰でも「望まない結果」から目を背けがちだ。しかし、何も起きるはずはない、と信じる権利は誰にもない。だからリスク管理が必要なのである。

ともかく800字ではとても書ききれない。ぜひ、本書を手にとって欲しい。

2006
04/15
Sat

みんなが読んでおいた方が良い、読むべき本。

75.0% (3 / 4)
[No.17] posted by espio999

危機管理の基本的性質は回避策。一方、リスク管理の基本的性質は受容策。タイトルの「熊」がリスクの比喩であることは明白ですが、「ワルツを」と言う部分から、これがリスク回避ではなく受容の本であることを暗に示しています。リスクと上手くやって行くと言うことですか。

特に目新しい考え方、捉え方と言うのは紹介されていませんが、デマルコ特有の軽い語り口(軽妙な翻訳)がその理解と認識を深めてくれます。特にRiskologyというプロジェクトのリスク分析シミュレーター(Excelワークシート)を利用したリスク分析プロセスが有用です。

トム・デマルコの本は、手法や方法論の紹介と言うよりも、考え方、ポリシーの紹介とその徹底が主旨なんだと捉えています。そういう意味では、プロジェクト管理に携わるかどうかに関わらず、みんなが読んでおいた方が良い、読むべき本だと思いますね。

2006
03/03
Fri

タイトルが直訳だったのにはビックリ

66.7% (4 / 6)
[No.16] posted by Tanako.R

リスクマネジメントの基本的な考え方を学ぶための良書です。日本人というか、日本の会社のマネジメントレベルには決してできない考え方ですね。実際の業務でも製品リスクマネジメントが必要な業界にいますが、やはり、リスクは避けるものです。まあ、当たり前なんですが・・・。
ところが、リスクはすなわち超過利得でもあるわけです。リスクをコントロールして積極的に高い利益を得ていく・・・という考え方にはなりません。この辺が、欧米との格差を生む原因なのでしょうか。とにかく、リスクといえば目をつぶって過ぎ去るのを待っているような方々をどうにかしようと思っている人におすすめです。これ以外にも、”The Art of Project Management”や”Risk Management in Software Development Projects”など、いずれも洋書ですがおすすめです。

2006
02/19
Sun

プロジェクト・リスク・マネジメントに関する書

33.3% (1 / 3)
[No.15] posted by k.t

 これは、動物とワルツを踊るように仲良くとと説く動物愛護の本…では全く無く、プロジェクトにおけるリスクマネジメントについての本です。

 プロジェクト管理の専門家であるコンサルタント・デマルコ氏は、プロジェクトマネジメントには“大人”であることが必要であり、“大人でない未成熟な”人々が多いためプロジェクトは難航すると説きます。この場合の“大人”とは世間で言うところの一般的な意味とは少し異なります。
 氏曰く、プロジェクト開始に先立ち「このプロジェクトには○○なリスクや××なリスクがあるので、△△した方が…」と冷静にリスクを見つめて指摘する“大人”な人物が「心配性すぎる」「融通が利かない」といった評価を受け煙たがられ、逆にリスク分析をせず行き当たりばったりだったりリスクの存在を隠蔽する人物が、やる気がある前向きな好人物とみなされ重宝される。このようにリスクに直面できない“子供”な人物の存在及びそういった人々を助長する風土がプロジェクトを失敗に導く…。

 かなりシビアなご指摘だとも思いますが、システム開発をはじめとして、各種プロジェクトに関わる人々には、新鮮且つためになると思います。

2005
06/22
Wed

ソフトウェア技術者に必須の本です

25.0% (1 / 4)
[No.14]

この本のタイトル「熊とワルツを」とは、ソフトウェアのプロジェクトを担当するにはリスク管理が必須であり、リスク管理をしないでプロジェクト管理をするのは熊とワルツを踊るようなものだ(つまり、いつ、熊に襲われてひどい目にあうか分からない)ということのようです。

そのプロジェクトにはどのようなリスクがあるか、納期や費用、要求仕様未達などのリスクを定量的に把握しなさい、という教えです。
ソフトウェア技術者に必須の本です。

2005
03/14
Mon

日米格差

57.1% (4 / 7)
[No.13] posted by ソンジュ

デマルコとリスターという名前で買ってしまいました。リアリティに欠ける部分はありますが、理解しやすく、日本人にはこのような視点、このような書き方は絶対できないだろうな、と思いながら読み進めました。デマルコに言わせると日本企業は「大人不在」の文化が蔓延している子供社会でしょう。PMレベルが読んで、現場で活用できるかという意味では、「無理」という答えになってしまう。上司に薦めたい必読の1冊ですが、多分読まないし、読んでも何も変えようとしないでしょう。私の会社はリスクに無知な典型的な日本企業(大手)です。

2005
01/06
Thu

読みやすいプロジェクト管理の本

66.7% (4 / 6)
[No.12] posted by matthew

読みやすいプロジェクト管理の本。

最近、自分なりにはかなり苦労した末、大規模プロジェクトが成功裡に終わり、万々歳と思っていたが、この本を読んでぞっとした。思い返してみるときちんと管理していないリスクが、実はゴロゴロあり、無事に終われたのは、かなり幸運に恵まれたに過ぎないことに、否応なしに気づかされた。

①最初からスケジュールに無理がある、②要求が途中で増える、変わる、③途中で人が脱ける、④仕様が崩壊する、⑤生産性が上がらない。本書で挙げられているこの5つのコアリスクだけでも、色々思い当たる節があった。これからプロジェクトに参加される人には、一読をお奨めします。

ただ、現実は中々本に書いてあるとおりには進められないもの。スケジュールは、余裕を持たせて立てるべきなのは、当たり前のことなのだが、勝手に期限が設定され、スケジュール的に厳しいと言うと、怠けていると叱られたり、何とかお願いと泣きつかれたり、貴方だから頼むんですとおだてられたり、できるんじゃないのなんて無責任に言われたり。期限を設定した人が期限に間に合わなかった場合に最終責任を取るのであればともかく、お前が自分の責任で(死んでも!)なんとかしろみたいな話になりがち。自分の上司にも是非一読を奨めたいのだが・・・。

本書末に付録として、「信念の倫理」第1部がついているが、この部分だけでも読む価値は十分。


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