- [著]ドナル・オシア
- [翻訳]糸川 洋
- カテゴリ:
- 単行本 (408頁)
- ISBN:
- 4822283224
- 発売元:
- 日経BP社 (2007/06/21)
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- ¥ 2,520 (税込)
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難しすぎます...
サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」に大感動したので、同じ感動を別の数学テーマで味わえないかと、この本を購入してみた。
「ポアンカレ」という名前は、小林秀雄を通じて、20年以上も前から気になる存在ではあった。しかし、日常の些事にまぎれて、岩波文庫から主要著書が翻訳されているにも関わらず、まだ一冊も読んでいない。肝心の「ポアンカレ予想」というのも、何を意味しているのか、いくつかの数学啓蒙書にあたってみたが、イマイチ、ピンとこない。
それで、本書には、そもそもの問題の理解、プラス、解いたという数学者の人間ドラマも併せて楽しめるのでは、と期待していたが…はっきりいって、単なる数学ファンには、この本は難しすぎる。最初の20〜30頁あたりで、もう頭が真っ白になり、一応、最後の頁までめくってみたが、ただ読みました、という感じで、なにも頭には残っていない。
肝心のペレルマンの人間ドラマも、勝手に期待していたほど頁が割かれていないし、欲求不満が残る。
はっきりいって、その人の数学の素養のレベルによって、本書の評価は大きく異なるのではないか? サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」に感動して、「自分ってこんなに数学ができるんだ」などと勝手に自分を誤解している(私のような)読者は、痛い目に遭いますよ!
これもまた名著
サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」は簡単ではないかとすら思える数式を、
証明するに当たり、いかに色々数学的概念が生み出されていったか。
及びその過程での、数学関係者たちの知的興奮を伝える良書であった。
それに比べるとオシアのこの書は、比較的淡々と書かれているように見える。
しかし、それは、ポアンカレ予想という問題自体が、フェルマー予想に比べ難しい概念であり
その難解さを、精一杯のテクニックを駆使して、一般の人に説明を試みた為だと思う。
オシアは文章のユーモアには欠けるが、少し大袈裟かもしれないが「科学の王道」を歩んで、
私たちを導いてくれたと思う。
フェルマー予想を解いた、ワイルズにサイモン・シン
ポアンカレ予想を解いた、ペレルマンにドナル・オシアがいたことは、
数学者にとってというより、世界の科学心を持つ人たちにとって、いかに幸運なことだったか
という思いで一杯になる。
(この二人がいなかったとしたら、私は数学の世紀のドラマを知らなかっただろう)
この本もまた、名著というべきだと思う。
ポアンカレ予想の解決までの流れがよく分かる
NHKスペシャル「100年の難問はなぜ解けたのか〜天才数学者 失踪の謎〜」を見て本書を読むと,やや期待はずれになるかもしれません.TVが難問を解決したペレルマンの人間ドラマに焦点を当てているの対して,本書では解決までの数学の流れを丁寧に説明しています.
ただ,NHKの番組ではペレルマンの業績がトポロジーの研究の流れから外れたところに位置しているかの印象を受けたのですが,この本を読んで,そうではなく,微分幾何学と位相幾何学は互いに連携しながら発展してきたもので,ペレルマンの仕事はその延長にあることが分かりました.ドラマだけでなく,内容も知りたいという人にお勧めします.
次元を一つ落とせば簡単に分かるのだが・・・
「世紀の大予想」の解決のお話。ポアンカレ予想とは「単連結な3次元閉多様体は3次元球面S^3に同相である」と言うことだそうな。1994年に証明されたもう一つの「世紀の大予想」フェルマー予想よりも分かりにくいが、これまた、「世紀の大予想」のリーマン予想よりは分かりやすいかな。一次元落として2次元にすると、言ってることはすぐ分かるのでイメージは作りやすい。
数学ついてはどうせ分からないし、本書にちりばめてあるイメージも分かったような分からないような・・・。多様体と宇宙の形の関係も、1次元落とした2次元多様体と地球の形の関係のアナロジーの方はすぐ分かるのだけど・・・・。一方、証明をめぐる人間模様はやはり面白く、特に最終的に証明したペレルマンは発表もちゃんとした論文誌にしていないし、フィールズ賞や賞金は辞退するし、謎に包まれている。それだけでも結構面白い。
もう一つ面白かったのは、学問の中心の移動と大学の盛衰の関係だ。ポアンカレを始めとするフランスから、クラインやヒルベルトのドイツへ、その後、アメリカへとポアンカレ予想研究の先端は移動して行く。そして、最後のペレルマンはロシア人。これは、ロシアの復権と言うより、学問の国際化を示すものなのだろう。その中で、フェルマー予想では大活躍だった日本人が出てこなかったのは残念だ。
数学に興味がある人にはお薦めの一冊である。って、興味のない人は手に取らんか・・・・
無神経な日本語タイトルが残念
もともとの英語のタイトルを直訳すれば「ポアンカレ予想 宇宙はどんな形をしているかの探求」とでもなるだろうか。
日本語タイトルの「ポアンカレ予想を解いた数学者」は、あまりにも本書の内容とずれている。本書では、学者本人については僅かに触れているのみなので。
英語のタイトルの通りであれば、5つ星。
ポアンカレ予想がいかなるものか、今までどのような考察がなされてきたのか、いかに解かれたのかが詳しく書かれているので、読み応え充分だ。
日本語のタイトルを無神経につけた編集者と出版社に対しては、星を2つも3つも削りたい気分だ。
映画などでもよくあるが、よくもまあ無神経に勝手なタイトルをつけるものだ。
作り手に対する尊敬の念があれば、そのような無神経なことはしないはずだ。
古代バビロニア以来の人類による壮大な理論の探求の歴史
宇宙は、かつて平面と信じられていた地球が球面であったように、3次元の球体なのか。宇宙の果てと反対側の果てがつながっているのか。それを外側(4次元の世界)から眺めることなしに証明する方法はあるだろうか。宇宙の形を地球儀のようにわれわれ自身が描くことができるのか。こうした疑問に答えるポアンカレ予想の解決とそれに至る数学者の群像をたどった壮大な人間の知恵の歴史。
本書では、「ポアンカレ予想を生み出した数学の起源を古代バビロニアに求め、ユークリッドの『原論』が提起した平行線公準をめぐる議論に始まり、天才リーマンの出現、ポアンカレによる位相幾何学の創始、さまざまな数学者によるポアンカレ予想への証明への挑戦と、物語が進行する。」(訳者あとがき)
その数学の流れが、古代ギリシアと古代バビロニア、アラビアとローマというヨーロッパと中東の交流、ナポレオン戦争、その後のプロイセンとフランスとの確執、第二次大戦という歴史の大河に左右されてきたことも示す。
「単連結」「3次元閉多様体」「3次元球面」「幾何化予想」など、数学理論の内容についてゆけるのは、ユークリッドの平行線公準が破られる位相幾何学の誕生あたりまでで、あとは実際のところちんぷんかんぷんだが、導入が丁寧なのでまったく苦にならなかった。難しいお勉強は興味があれば別の本を読もう。十分に楽しめる。
証明の一般向け解説ではない。
「ポアンカレ予想の解説と、解決までの段階的進展、いかにして解かれたのか?」 このような関心から読むと期待はずれである。全体の2/3以上は周辺的な話で、ポアンカレ予想の解決についての説明は十分でなく、解決に至る経過を記しているに過ぎない。地球が球形であることが自明でなかった時代の話から宇宙の形の話に結びつける導入は面白いが、最後の証明まで一般読者向けにわかりやすく説明しているわけではなく、肝心な証明部分の記述は、ほんのちょっとしか無く、難解なままである。途中、ポアンカレ登場に至るまでの数学者の話やその時の社会状況などが細かく書かれており、こうした事に興味のある人には良いかもしれない。
話としては面白い
以下の関連本とNHKの特集で少しわかりました。NHKを見損ねた方はネットの「投稿190」http://www004.upp.so-net.ne.jp/s_honma/mathbun/mathbun190.htmをコピー&ペーストでごらんください。
数学のたのしみ2007春・夏号p.118〜131
「曲がった空間を見る」(幾何学入門からポアンカレ予想まで)塩谷隆
「数学文化 8 (8) 2007/6」日本数学協会この2冊とTVで少しわかりました。
「トポロジーって何だろう」野口廣 ダイヤモンド社はやさしい名著です。
「ポアンカレの贈り物」南 みや子 永瀬 輝男 講談社
「3次元トポロジーの新展開」戸田正人 サイエンス社
でもなぜ受賞と名誉を捨て隠棲しているのかはミステリーです。数学の魅惑にとりつかれて
きっと次の難問に挑んでいるのでしょう。まるでグロタンディークの晩年みたいです。
ペレルマンに興味を持った人には不適
この類の本では、サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」がありますので、それと比較してしまうと、どうしても星四つとなってしまうのですが、力作だと思います。著者は数学者ですので、数学的な説明も多くなっています。参考資料もしっかりと明記されています。
ただ、最終的に証明を完了したペレルマンの人となりに興味のある人には、余りお薦めできないかも知れません。最初と最後にちょっと登場するだけですから。本書のようなテーマを扱うものは、かなり過去の時代から延々と物語を繰り広げる必要があり、ポアンカレにしてもやっと後半からの登場でした。このあたりを如何に読ませるかが著者の腕の見せ所と思いますが、良く書けてはいるものの、サイモン・シンには及ばない、というところでしょうか。
数学の本、ちょっと(かなり)難しい
ポアンカレ球って、私の仕事でもよく使っているし、同じ系列のサイモン・シンの「フェルマーの最終定理」が面白かったので、この本を選んだ。しかしサイモン・シンと違ってでも著者は数学者であるので、難解な数学の説明をしてくれるのだが、寝っ転がって気軽に読むにはちょっと難しすぎる。訳者は相当苦労して訳したんだろう。「フェルマーの最終定理」とは違って、「ポアンカレの予想」は、誰にでも理解できるものではない。著者は、問題をわかり易く説明しているつもりなんだろうが、私は数学を勉強するつもりでないので、読むのに相当苦労した。「フェルマーの最終定理」は、数学の問題を解くのが、まるでミステリーのようになっていて、ドキドキしながら、読んだがこの本にはそれがない。
さらに当のベレルマンについての記述が少なすぎる。最後に他の雑誌から当人のその後の抜粋が挙げてあるが、著者自身がベレルマンに会って、インタビューして欲しかった。「クレイ研究所の賞金100万ドル」「フィールズ賞」を辞退したのは、どうしてなのか?ベレルマンの人となりは非常に興味深く、「賞や賞金には全く興味がなく、純粋に数学だけをやっていたい」という人物にもっと焦点を当てて欲しかった。同じような境遇にあってノーベル賞を受賞したジョン・ナッシュの「ビューティフルマインド」のような仕上がりにしても面白い本になると思った。まあ数学の本として読めばいいのだろうけど、それにしても難解だ。この手のちょっと高尚な本には、5☆を往々にして付ける人が多いが、この本は数学の本であって、ノンフィクションとしては、3☆だと思う。
