- [著]瀬尾 まいこ
- カテゴリ:
- 単行本 (165頁)
- ISBN:
- 4838714467
- 発売元:
- マガジンハウス (2003/12/18)
- 価格:
- ¥ 1,260 (税込)
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先生と生徒のやりとりがコミカル
たった一人しかいない文芸部だが、清と垣内のやりとりはコミカルでおもしろかった。文芸部では運動部と違って同じことをしている日は1日もないと言い切ることや、朝練で図書室の本を整理したりと文芸部を盛り上げるための発想もよかった。また、曲がったことが大嫌いな清に対して柔軟な発想をもつ垣内くんとのやり取りが印象的だった。特に頭痛もちの理由として自分の正しさを相手に押し付ける図々しさの話はもっともだと思った。作品中に実際の本もいくつか紹介されておりタメになる話も多く、山本周五郎の「さぶ」は機会があったら読んでみようと思う。
多才
瀬尾さんの作品の登場人物は多才で羨ましいと思う。
非凡な才能の中にある楽しみかた、その世界を巧妙にでも読みやすく描いていると思います。
だから親近感も湧くし、素直にいいなと思わされるんだろうな。
温かさいっぱいの図書室の日々
瀬尾さんの言葉遣いは、とっても好きです。
あんまり大きな声ではなく、ていねいに話している口調で、柔らかくしみいる感じがします。
「図書館の神様」は、主人公のキヨが気の乗らないまま文芸部の顧問を引き受けて、
たった一人の垣内くんという部員と向き合う1年が書かれています。
瀬尾さんが教師をしているという話を別の本で読んだ後だったので、
「教えている生徒によって自分も癒されて、また成長させてもらえる」
っていう経験がおありなのかなと思いました。
この話の中では一言も書かれていないけれど、きっと垣内くんはキヨ先生が好きだったんだろうな。
キヨの弟が、あんまり言葉を交わしていなくても姉のことをとても理解してくれていて、それが
「姉ちゃん、悪くないのに」 という一言によく現れていると思いました。
また、自分の一言が原因で自殺してしまった同級生のご両親様からキヨに宛てられた手紙が
とっても印象的。
相手を責めて生きたくなるものなのに、キヨの心遣いに感謝しながらも、彼女をそっと未来に押し出すようで、
温かさがいっぱい詰まった手紙でした。
心の棘を抱えた主人公のやさしくて切ない物語
瀬尾まいこの作品は「卵の緒」に続いて2作品目です。
少々センチメンタルな内容ですが、でも大人の心をキュッとつかみます。
高校時代にバレーボールのチームメイトの自殺の原因を作ってしまった主人公の女性。
その心のとげを抱えたまま大人になり、非常勤の教師になります。
恋人、生徒、弟とのちょっと不器用な人間関係がちょっと切なくてやさしい物語です。
本当ならどろどろになりそうな不倫の恋もなんとなくほんのり悲しいやさしい恋です。
そんなのある訳無いじゃんといわないように。小説だから。
身内に教師を持つ身としては「おいおい、そんないいかげんな気持ちで教師になるな」といいたくなりますが、まあ、それは人それぞれだし、小説だしね。
読後感もさわやかでお勧めの一冊。
清く正しいとはなんだろう。。。と、考えさせられ教えられる作品です。
他のものがどうでもよくなるものがあるということは、幸せなことだ。
水清ければ魚棲まず きっぱりさっぱりさせるのは楽じゃん。そうしていれば正しいって思えるし。実際間違いを起こさない。
だけどさ、正しいことが全てじゃないし、姉ちゃんが正しいって思うことが、いつも世の中の正しさと一致するわけでもないからね。
『黙るべきときを知る人は、同時に言うべきときを知っている』
なるほどなあ〜〜と思った作品中の文章です。
図書館の神様って?
清く正しく生きていたバレー部のキャプテン清は、部員の山本が自殺しその責任が自分にあるかもしれないという負い目を抱えて、大学は地方都市へ。卒業後は高校の講師として、海の見える町で暮らしている。
文芸部顧問として放課後は図書室でたった一人の部員垣内くんと過ごす。週に何度か不倫相手の浅見さんと過ごす。別れることになっても修羅場はない。弟の拓実も優しい気遣いで姉の元を訪れる。教師採用試験にも合格。教師として実家のある町に帰ることになると、山本の母から、清が毎月欠かさず墓参りに行っていたことへの労りのような手紙がとどく。どの登場人物も物わかりがいいというか、傷つけ合わず適度な距離をもって物語は淡々と語られていく。
清はほんとうにまじめに生きているのだとは強く思ったけれど。
物語の中だけでもこんな風に人生動いていって欲しいってことなんだろうか。図書館の神様ってどういう意味か、考え込んでしまった。
人生の目標を見失った人こそ読むべき
一度心に深手を負った主人公が弟である拓実、文学クラブの生徒である垣内君との心の交流を通して、まわりの人の気持ちをしっかりと受け止め、かつ自分自身の夢を持ちそれに向けて努力できる人間に再生していく物語。心が洗われます。
私以外の世界に触れる
私が悲しいとき、寂しいとき、困ったとき、彼の一言や抱擁がほしかった。それだけで元気が充電できるのに、彼は近くにおらず、私は独りだった。
そんな不在を抱えている今の自分と、図書室の本を制覇せんとばかりに片っ端から読み漁っていた子どもの頃の自分と、両方がこの本の中で出会っているようなくすぐったい感じがした。
本を開くだけで、時間を超えて、空間を越えて、さまざまな人になり、人と交わる。
世界を味わい、感情を揺らされ、問題に晒され、思考に挑み、また自分自身へと還っていく。
同じ本について、人と話し合うのも、たまらなく素晴らしい。趣味の合う読書友達は貴重だ。
心に元気を補充したいとき、こんな本に出会えることが嬉しい。これも神様の仕業かも。
文学のススメ
瀬尾作品で初めて読んだ本、この本に出合えて良かった心から思えた一冊。心に傷を持つ高校の国語講師となったキヨは、たった一人の文芸部の垣内君と顧問として接していくうちに、自分の持つ正しさだけが全てではないと気付き成長して行く過程が丁寧に瑞々しく描かれている。垣内君とのやり取りが軽快で楽しく、キヨが成長の過程で文学の面白さにも気付くのがこの作品の面白いところ。この作品を読み終えると他にも
沢山の作品に触れてみたくなるのだ。この作品は文学への窓口の様な作品だと思う。とても素敵な一冊、読んで損はない。
いろんなことを育んでいる
『幸福な食卓』も大好きですが、
主人公の年齢がこちらの方が自分と近いので
グッとくる部分が多いかも。
瀬尾さんの作品は、人との距離が微妙なんだけど
こんな感じあるよね、というところが好きです。
垣内くんがたまに発言する「はぐくんでいる」が
妙に心に残り、この作品の裏テーマかなぁ〜
とも思いました。
読み進めていくうちに、
すっかり垣内くんファンになっていました。
