- [著]内田 弘樹
- [イラスト]EXCEL
- カテゴリ:
- 単行本 (282頁)
- ISBN:
- 4871499634
- 発売元:
- イカロス出版 (2007/08/31)
- 価格:
- ¥ 1,700 (税込)
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独ソ戦と我々の距離感
正直、自分は軽いネタ感覚で買いましたね。
過去から近年の通史は読破しているし、正直なところ、あまり「萌え」にも興味はない。「こういう本もあるのかー」「こういう本もあるのだよ」という感覚で、「つい買ってしまった」(笑)。
「文」の方は、及第点以上と思います。ここ何年かの独ソ戦関係の書籍は押さえて、それらを上手い具合に総括している。もうちょっと突っ込んでもいいかな…というところはありますけれどね。兵站とか、独ソ双方の「蛮行」など、もう少しね。アイコントークにちょっと注文をつけたくなるところはあるけれど……まあ、親しみやすさを作ろうという意図は理解できます。
とすれば「萌え」を入れているのを、どう評価するか…に尽きるのだろうけど、本質的な興味関心事ではないため、自分としては評価を留保したくなる(苦笑)。パロディ的な要素を付け加えるのは「悪くない」とは思うわけですが、大国が存亡を掛けて行った総力戦(地上戦では、今のところ史上最後の総力戦と言っていいでしょう)である「独ソ戦」を扱うには、ちょっと軽くなってしまっているかな、とも思えます。
独ソ戦って本気で紐解けば、すごく重苦しい雰囲気がありますよね。その一方で、特に超人的な活躍を見せる独軍VS.物量ですりつぶす赤軍みたいな対決図式による、ロマンを感じさせる戦記もある。ただまあ、独ソ戦は、自分も含めて現代の日本人からしてみれば、「Long and long time ago.Far and far away」なお話です。時間的・空間的な隔たりって、おそらくヨーロッパの人から比べれば、それはそれは大きなものでしょう。何かの切っ掛けで独ソ戦に興味を持った人も、ロマンから入って、さらに深く追いかけようとすると、実際には重苦しい空前絶後の総力戦の現実に押しつぶされて、踏み込みきれず…とうのが多数なんじゃないかな。
そして、そんな距離感が、軽みの極致とも言うべき「萌え」を入れようという実験を可能にしたのではないかと思います。太平洋戦争の重苦しい戦いを「萌え」でやろうとすれば、これはあまりにも近すぎ、躊躇われる。もっと別の戦争でやろうとすれば、さらにさらに膨大な距離感のおかげで、売り物にならない可能性が高い…。とは言っても、元からして、アメリカと日本が戦争をやったなんて「信じられない」「知らなかった」という世代が多数いる現在ですから、軍事史そのものがあまり見向きもされないだろうって実感があるわけなんですが…。
ともあれ、「萌え」というネタが入って、世の中に、軍事に目を向けようって人の裾野が広がれば、それはそれで結構かと。まあ、これが切っ掛けでもっと歴史に興味を持つ人が増え、政治的なバイアス抜きに、軍事史に目を向けようという人が多くなるのならば、悪くはないでしょうかね。
萌え戦争本では一番楽しかった
詳細な解説で、この一冊あれば独ソ戦を包括的に知ることができる。
軍同士の戦闘を中心に語られているため、過度に陰惨にはならず、読みやすい。
イラストは単なる解説のための図に留まらず、漫画として楽しめるものになっている。
極めてマニアックで危ないパロディが豊富。悪ノリを笑える心の広い人向け。
楽しく真剣に書かれた良書。あるいは奇書。
基準はどこなのか?
つくづく存在理由がわからない。
「独ソ戦」を萌えイラストで解説するなら、当然「神風攻撃」、「インパール」、「ガタルカナル」を行うべきだろう。否、せねばなるまい。
歴史をどのように解釈するのかは、著者、読者の自由だ。
しかし「真面目に解釈する」ならもちろん、たとえ「不真面目に解釈する」のであれ、「歴史への向き合い方」は常に真面目でなければなるまい。
仮に本書のような解釈を認めるのならば、
「なぜ独ソ戦を刊行して、自国の戦いはしなかったのか(今後刊行するのか)」
という説明をする必要がある。それがないのが、本書最大の欠点だろう。
それこそ、「がたるかなる」、「いんぱある」といった本が刊行され、萌えイラストの女の子たちが餓死していく様を克明に描いていけば、本書はおろか、この出版社の方向性は理解できるし、評価されねばならない。
だが読者を含めて、
「そういう本を出しても、読後感が悪いから、どうせ売れませんよねぇ」
という口上を用いるなら、「歴史への向き合い方」が不真面目である。
わかりづらい
戦史に詳しく無い方には向かないのでは?
戦争当時の両軍の進撃の記述において矢印を用いた地図があるのだけれど、記載されている内容がどの矢印や地名が該当するかわからず、チンプンカンプンでした。
図を見ずテキストのみで見るにはよいのかもしれません。
自分が購入した時より改版されており、修正がされていればこの記載は無視してもらっていいです。
※この本には版数の記載がありません。
軍事と萌の両立を
一番の評価は「読みやすさ」でしょうね。イラストによる解説も多く、ネタもあちこちにちりばめてあり、笑えない所でも気を抜くと顔がにやけてしまいました。傍から見ればかなりきもかったでしょう、隣に座ってた女子高生さんごめんなさい。
言われているとおり、元から戦史に詳しい人にはまず必要ない本です。ただ、私のような虹オタと軍事オタ(初級)を掛け持ちしている人には、東部戦線のとっかかりとして丁度よいでしょう。
イラストに関しては、イカロスでは有名な絵師で以前から知っており、好みにもピタリ合っていたので即買いでした。
星一つ減点したのは、戦術の解説が一部不可解な点があることや、一都市一地方ごとの戦況の説明はあるものの、東部戦線全体、あるいはドイツ軍の戦線全体を俯瞰した状況説明が乏しく、外的要因の影響が示されていないことが多いということの二点です。
本全体としては浅くやっているかと思えばコラムがマニアックだったりして、「楽しむ」感じが強いですね。買って損はしませんでした。
意外とマトモだw
内容は意外とマトモです。そりゃぁ記述の薄い部分も多々有りますが、
この本は軍ヲタの本じゃなく、入門書と言う位置づけでしょうから、やむを得ません。
入門書でいきなり1000Pオーバーってのも無いでしょうしね。
私は「萌え」をいまいち解しない、そこらへんは割と普通の人ですので、
時々「寒っ!!!」・・・・・・・・・・・・と思う事も有りましたがw
けどまあ、客観的に考えると、もうちょっと萌え萌えしてても良かったんじゃないでしょうか。
具体的にはマンガ部をもっと増やすとか。
この本のコンセプトから考えると、余りにも普通すぎる感じがしてなりません。
あいや、私がコンセプトを勘違いしてるだけかもしれませんけど。
尚、萌えだけではなく、微エロも含まれております。購入される方、ちょっとだけお楽しみに。
はきゅん
前の人も語られている通り、やはり絵がもう少ししっかりしてほしかった。
内容は充実していて勉強になるので一読のおすすめです。
まずは入り口として
星5つの理由から明確にします。
まず、WW2戦史系に明るく、大日本絵画や学研やらの戦史関連本をスッカンスッカン読んで楽しめるような人には本書は必要ありません。ディティールを除いては、基本的に知っている話と流ればかりでしょう。
しかし、対象を「萌え」と「ミリタリー」に立脚した読者に置くならば、本書は非常に高レベルです(そうした情報を重視する読者に対して、私は星5つをつけました)。
わかりやすさを重点に、エピソードを軸としたテキスト構成は、好き嫌いを別として一貫性に揺るぎはありません。コミック・イラスト部はネタ満載で、キャラ立ちもはっきりしています。過激(いささか不謹慎)なエロ描写については、対象が対象だけに賛否があるとしても、アイコントークも含め、昨今の流行はあますところなく取り入れてあると言っていいでしょう。そうした萌えとテキストとパロディが高いレベルでまとまっている点では、最近頻出している類書から頭一つ出た内容だと感じました。
もちろん、本書を楽しめたら、それだけで終わりにせず、ぜひ「独ソ戦」に関する他の戦史本にも進んでください。本書の底流にある人類史上最大最悪の戦いの様相が、一挙に理解しやすくなっている自分に気づくはずです。
面白おかしく独ソ戦入門
とりあえず第二次大戦の独ソ戦について知りたい人におすすめ。
既存のこの手の本にはない、簡潔で必要最低限のことが分かる内容です。
文章は要所を押さえつつも、劇的で読みやすく書いてあります。
300ページに迫る分量ですが、読むのが苦になりません。
私は戦記モノにありがちな“眠くなる”文体が耐えられず、
途中で放棄してしまうことが幾度かあったので、個人的にこの本はうれしかったです。
イラストの方はネタありき。
「分かる人には分かる」という感じで描いているのでしょうが、
自分にも分かるネタがあるところはかなり笑いました。
「こんなの読者の内のどれだけが分かるんだー」というネタもありますね。
マンガ・アニメネタに止まらず、かなりシブい映画ネタとかもあるので、
見つけてほくそ笑むのも楽しみの1つになるかも知れません。
あとはカバー裏がちょっと危険です。これって15禁かも?
入門書としてもネタ本としても今ひとつ。他の本を買うべき。
残念ながら、独ソ戦の入門・解説書としてもネタとしても出来が悪いです。
「萌えよ!戦車学校」等と異なり、あまりお勧めできる本ではありません。
なぜ入門書として不十分かといえば、
クレフェルトが「補給戦」において指摘した「補給計画の杜撰さ」、
そして、グランツが「詳解 独ソ戦全史」「ヒトラーが勝利する世界」で指摘した
「赤軍の独軍阻止のために行なった、ありとあらゆる努力」
「両軍戦力の決定的な差から来る、戦術的な要素を検討することの無意味さ」
といった重大な事実が、軽視・矮小化されているためです。
独ソ戦が『日本人の「体験」に代わり、「戦争」の様々な現実を
客観的に見せる写し鏡となってくれる最良の「歴史」』と訴えるのならば、
それらの事実について、もっとはっきりと述べられるべきです。
本書には、そうした厳然たる事実の指摘よりも、
「感動的な」将軍たちの言葉の引用や、著者の見解に基づいた単純化が目立ちます。
これでは、却って客観的な理解を妨げられてしまいます。
歴史を物語のような目で見る人間が増えることは、有害ですらあるのです。
また、戦術に関しての解説がいい加減すぎます。
電撃戦とタンクデサントの解説文、グーグルで検索した方が
マシな記述が出てくるというのはいくらなんでも酷すぎるので、
なんとかしてください。全体の記述に対する信頼性を損ないかねません。
蛇足ですが、独ソ戦について入門書を読むのであれば
山崎雅弘の「完全分析独ソ戦史」が読みやすくまとめられていると思います。
入門者の方には、上述の「詳解 独ソ全史」と合わせて通読をお勧めします。
