- [著]中尾 俊夫
- [編集]児馬 修
- [編集]寺島 廸子
- カテゴリ:
- 単行本(ソフトカバー) (224頁)
- ISBN:
- 4894761882
- 発売元:
- ひつじ書房 (2003/07)
- 価格:
- ¥ 1,680 (税込)
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事実を事実として述べた書。規範と記述の明確な線引きを。
比較的最近の英語の変化の流れを、主たる文法事項に分けて豊富な具体例とともに記述した書。不十分な箇所もあるとは思われるが、最近の英語ではこういう言い方もありなのか、という風に楽しみながら読む分には特に問題がない。ただ本書の大部分はありのままに事実を記述しただけであり、何故そのような変化が起こるのか、どういう論理がそこに働いているのか、といったような解釈は殆ど見られない。その意味では英語学の教科書としては適しているとは言い難い。例えば、『接続詞』の項目では、as~asがC as S Vの構造のように譲歩を表すといった例(これはアメリカ英語に特徴的なものであるが)、no matter thatがno matter whetherに近い意味で用いられる、といった例などが単純に記述されているが、これらがどういう過程を経て接続詞として用いられるようになったのか、どうしてそのような意味になるのかは、その本来的な構造と文法化の過程を追えばかなり理論的に分析できるものである。(現に、受験生レベルを対象とした『英文法解説』ですら、as~asの譲歩などについては明快な解説を与えているのである。)
また、私はこの書の記述的価値を認めるに吝かではないが、こういう書を読んで、受験英語の常識(それも多くの場合、受験英語の表層だけをなぞった者が常識と勝手に思い込んでいるもの、であるが)と相容れない例を見つけるや否や、まるで鬼の首でもとったかのように『ほれみたことか。受験なんて役にたたない』と騒ぎ立てる人、つまり、記述の対象としてのありのままの言語現象と社会的価値観を反映する言語の規範的ルールを混同する人がいる以上、この種の書は有害な効果ももたらしかねないということはやはり否定できない。
その意味で星の数は少なめにしたが、そういうことを全て理解した上で楽しんで読むという前提であれば、星3つの評価である。
変化する英語、というか言語は変化する
英作文を添削、もしくは、正誤問題を解いている気分で読ませてもらった。正誤問題で間違いとされるものも時代とともに受け入れられるようになる、という例がたくさんあり興味深い。
が、これを英語学の教科書として使うという筆者の意思には賛同できない。むしろsyntaxを学んでいる受験英文法をしっかり学んだ人が読んで楽しむものだと思われる。
正しい英語もしくはpoliteなものをまずわかった人が読むべきだと思う。英語は変化するというか言語は変化する、これは当然のことであり、現にここに引用されている「受験英文法ではだめだけどこんなのも言えるんだ」というような表現の中にも現在では当たり前に使えるものがいくつかある(like, kindなど)。
本としては本当におもしろい。
しかし、英語を学習してる人は受験問題やTOEICの問題をみて「ほら、いえるじゃん」などと決して言ってほしくない。
ud better nah abt da polite 0n3 2
(訳:politeなもんについても知っといたほうがいいよ)
受験英語の崩壊
高校受験、大学受験を目指して英語の勉強をするわけだが、その際、合格するのが目的だから、文法的に間違わないように注意して英文法を覚える。受験の場合、規範的であるということが重要であるからだが、どうも英語は変化しないモノで、決まりがきちんとあるようなそんな思いこみを刷り込まれてしまう。ところが、この本を読んで驚かされるのは、間違いだと赤字でバッテンをつけられたようなものを英米人も実は使っていることがあると言うことである。
thisなどの指示詞が副詞として使われているという。日本語では「こんなにすごい」といった言い方は自然だが、英語ではだめなはずだった。this simpleのような言い方が許容されているということなのだ。
うーん、こんなに英語が変化してしまっているのなら、何でもありなのか、と思ってしまう。もちろん、変化する過程にも法則のようなものがあり、勝手に変わって行っているわけではない。
しかし、英語は神聖で、不変であるというようなおかしな呪縛からのがれるのにはよい本だろう。受験に浸りすぎた人にはよい解毒剤になるかもしれないし、小説や歌詞の翻訳家など、生きている英語を扱っている職業の人は目を通しておくといいかもしれない。
