- [著]エリック・スティーブン レイモンド
- [原著]Eric Steven Raymond
- [翻訳]山形 浩生
- カテゴリ:
- 単行本 (252頁)
- ISBN:
- 4895421686
- 発売元:
- 光芒社 (1999/09)
- 定価:
¥ 1,890 (税込)- 在庫状況:
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ユーズド商品:¥ 1,445 より
軽快に述べられたエンジニアリング/社会学の良質な考察
本書の内容は、直接は、linuxというオペレーティング・システム(の中核部分)の開発体制周辺の説明と分析である。この開発体制は当時としては非常識なものであり、その異常なまでの成功は驚嘆に値するものだった。そして、その成功は一般への知名度を広げながら今でも進んでいる。本書(というか原著)の第一の意義はそのメカニズムを平易に鋭く述べ、実際に世の中を動かしたことにある。
計算機に関するセミプロレベルの知識が要求される記述も少々あるが、計算機アレルギーを持っている人が読めない類の本ではない。そして、本書の内容はソフトウェア開発のみならず組織内の情報伝達やリーダーシップなどの面からも色々と考えさせられるものになっている。どちらかというと計算機屋さんよりも管理職や政策提案者や教育者の立場の人にとって得るものが多いのではないかと思う。
もう一つの大切な意義は書籍として出版されたことにある。というのも、本書の内容はウェブ上で公開されており、著者も訳者も勝手にコピーしたり売ったりすることを許可しているのである。そして、それはlinuxの著作権と共通するものでもある。このような本を読みやすい形で出版してくれた出版社に感謝する(できれば絶版状態を解消してほしい)。
オープンソースの構造・社会・経済
本書はレイモンドの論文「伽藍とバザール」を収録したものである。
オープンソースが従来の代表的な考え方とされていたものとどのように異なるのか。ではその違いが起因するものはなにか。そもそも従来のパッケージソフトウェア販売にはどのような了解のものとでビジネスが成り立っていたのか。そして、最終的にはオープンソースの位置付けはどうなるのか、経済的に見てどのような長所・短所を含んでいるのか。
通読すればオープンソースを、構造的、社会的、経済的に見る基盤も持てる。
オープンソースについて知りたければ真っ先に読むべき
Linuxを筆頭にApache、Tomcat、PostgreSQL、Perlなど商用ソフトに勝るとも劣らない優れたオープンソースソフトが登場し、世界中で私用商用問わずあちこちで活用されてる。
そもそもオープンソースとはなにか?
単にソースコード(プログラム)を公開すればオープンソースになるのか?
どうしてオープンソース開発者たちは無償でソフトを作り続けるのか?
何故オープンソースソフトは商用ソフトと同等かそれ以上の性能と安定性を持つに到ったのか?
オープンソースが世界中でこれほど騒がれる原因は何か?
オープンソースって何だかわからないがどんなものか知りたい人や、オープンソースの知識を更に深めたい人は是非読んで頂きたい。多くの疑問を解決してくれるはずだ。オープンソースを初めて深く考察した論文にして、以上にないほどわかり易い解説書でもあるのだから。
ハッカーらしい砕けた文体と、作者自身のオープンソースソフト作成の実体験を例に織り交ぜながら解説を進めるのでとても読みやすくそして判り易い。コンピュータの知識がない人でも翻訳者解説を読めばある程度理解できるようにしてあるのも好感が持てる。
後ろの章辺りに未完成感があるのは否めないが、純粋に「オープンソース」について知りたいのであれば全く問題はない。
たまに間違った知識や概念で他人にオープンソースを紹介している人を見ることがある。是非ともこの本を読んで正しいオープンソースの知識を身に付けてもらいたいものだ。
初心者にはわかりやすいです。
SEやプログラマーの方で、オープンソースについて知りたいが、社会学や経済学の知識はちょっと、という方にお勧めです。
Linuxをはじめとしたオープンソースが、何故いま話題になっているのかが良く分かります。著者のバックグラウンドもハッカー出身なので、社会学者や経済・経営の専門家が書くよりも、IT技術者にとっては、”なるほど”と思わせ、なんとなく親近感を感じます。
ただ、欲を言わせてもらえば、オープンソースが社会的・経済的にどう影響
を与えたかは、本書で述べられているものの、より理論的に定式化できていると、個人的にはより、”なるほど”と思えたような気がしました。そのあたりは、別の経済・経営の専門家にお願いする、といったところでしょうか。
応用できる可能性が高い内容
本書はオープン・ソースソフトの「Linux」が作られていく背景について書かれている。Linuxやオープン・ソースについてあまりわからない場合は「第五部」から読み始めれば問題無いし、論文そのものも平易な文体で書かれているので非常に読みやすい。
訳者解説にも少し書かれているが、最近、本書を叩き台にしたと思われるボランティア論などが社会学・福祉学の分野で現れはじめている。
その手の本の中には本書の縮小生産や誤読のような内容のものまである。そのような本に翻弄されないためにも、まずは本書を読んで、Linuxを作り上げたハッカーたちが何に価値を見出しているのか、また、オープンソースの意義が何なのかをきっちりと確認しておくべきだろう。
書店や図書館の「コンピュータ」の棚だけに配架されているのは実に惜しい内容なので、社会学や福祉学などを学ぶ人にもおすすめしたいと思う。
