- [著]網野 善彦
- [著]宮田 登
- カテゴリ:
- 新書 (283頁)
- ISBN:
- 4896915941
- 発売元:
- 洋泉社 (2001/12)
- 価格:
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網野善彦氏の発言は気をつけて読んだ方が良い
私は、網野善彦氏(1928−2004)のファンであった。だが、この本を読んで、網野氏に対するイメージがかなり変わった。その理由は、以下の様な物である。
面白い本ではある。そして、これまでの日本史研究が、日本の歴史における米の意味を過大評価して来たとか、逆に養蚕の意味を過小評価して来たとか、網野氏が指摘して来た、これまでの「日本史」の盲点についての指摘は、この本でも、非常に興味深く読ませてもらった。又、対談相手の宮田登氏のお話も非常に興味深い物であった。しかし、この対談の所々で、網野氏は、首をかしげる様な事を発言して居る。(以下引用)−−「近代日本の朝鮮侵略の原型はやはり、秀吉の朝鮮侵略だったといえますね。明治政府の路線は、秀吉の路線の上に乗っているところがあるわけです。」(本書105ページ)「幕末から明治にかけての日本の前には、いくつかの選択肢があり得たと思います。明治政府は最悪に近い道を選んだと思いますが、今後、私たちが進むべき道の選択を迫られたときには、最善にできるだけ近い道を選びたいものです。」(本書146ページ)−−網野氏の中世についての言説だけを読んで居た私は、この本を読むまで、網野氏が、こんな発言をして居るとは知らなかった。しかし、この本の対談で、網野氏の口からこぼれた、こう言ふ発言を目にして、網野氏は、かなりイデオロギー的な歴史家だったのあろうか?と思はざるを得なく成った。−−網野善彦氏の発言は、気を付けて読んだ方が良さそうである。
(西岡昌紀/内科医)
おんな・子供・老人からの「日本史」―網野善彦と宮田登の最後のメッセージ
歴史家網野善彦と民俗学者宮田登の対談集。サブタイトルにおんな・子供・老
人からの「日本史」とあるように、従来の「日本史」で「語られて」こなかっ
たおんな・子供・老人に光を当てて男中心の歴史像を脱することを眼目にして
いる。特に網野氏は日本中世海民史の立場から、コメ中心の歴史の転換を強く
訴える。こうした見解は歴史学を揺るがせ、歴史認識の変革につながってこよ
う。ただ、こうした議論は「実体性」の再生産につながるゆえ、なかなか一筋
縄ではゆかぬ。
ヒーロー伝説にちょっと飽きてきた人に
民族の理念を指導するヒーローたちとそれに馳せさんじる民衆の物語り…、が歴史と思ってる人にはちょっとツライ本。江戸時代、日本人の8割が農民だったなんていうことがチマタに信じられてるようだけど、これが網野センセイに言わせれば全然ちがうんだな。「男が田畑を耕し、女が養蚕と織物をやる」という古代からの生産パターン。ここから男のになう「農」だけを突出させるイデオロギーが近世になって成立した。だってその方が支配しやすいんだもん。結果、女の仕事はすべて男の仕事の補助とされた。王道の学問だった(今もか?)歴史学はともかく、民俗学だって農業イデオロギーにドクされているという網野センセイの怪気炎に、宮田センセイもおもわず頷く。この二人の徹底討論から、いままで見えてこなかった事実や推測がゾロゾロ出てくる。わがニッポンにはかつてこんなにも多様な世界があったんだ…、としみじみしたい人には絶対おススメ!」
