- [著]Haruki Murakami
- [ナレーション]Rupert Degas
- [ナレーション]Teresa Gallagher
- [ナレーション]Adam Sims
- カテゴリ:
- CD
- ISBN:
- 9626344326
- 発売元:
- Naxos Audio Books (2007/01/01)
- 定価:
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暗雲を背に輝く生
大地震直後の世に材を求めた短編小説集。六編いずれも珠玉だ。
1995年、阪神北淡地方を襲った震災の恐ろしさは、いうまでもない。関西出身の著者も、かなりの衝撃を受けたことだろう。全編に、死と喪失、破壊と暴力への恐れと不安がちりばめられ、未来の暗さをほのめかす。だがそれだけで終わらないのがよいところ。黒雲が立ちこめるような背景に描かれる生は、みな哀しいが、まわりが暗いだけに、よりきらきらとして見える。目をこらせば、輝く希望が見えてくる。世界はかくもはかなく美しいと教えてくれる作品だ。だが震災当時はそれどころではなかったはず。苦悩を昇華し、ここまでにするには、さぞ努力がいったことと思う。
特に最後の二編がよい。かえるやくまなど動物が出てくると筆致がさえる気がするが、どうだろう。
英文はやさしく読みやすいが、深遠なことをくだいた言葉であらわすのがもともと著者の持ち味だ。原文同様研ぎすまされているだけに、流し読みには向いていない。軽い読み物を求めるなら、ほかの作家をあたるべきだろう。
面白いし、英語も読みやすい
村上春樹は海外で非常に人気がある。その理由は、この本を読んでみるとよくわかる。村上春樹の文体は、英語に訳されても、大切な部分が残るように思う。
日本人作家の中でも、漱石や鴎外などは英語に訳すると崩れてしまう。三島や川端は、翻訳者に恵まれたことにもよるが、魅力のある文体の英語に訳されている。
しかし、村上春樹の場合は、もともと欧米の文体に親和性があるのではないかと思う。原文と英語の訳文を比べてみるのも面白いし、外国の作家のつもりで読んでも楽しい。
実は私は、ある文学好きのアメリカ人に、帰りの機内用の読書に良いだろうと村上春樹の英語訳をもらい、それから村上春樹を読み始めた。
英語の勉強のために読むのもいいだろう。
