美しいチャイナ・ドレスに彩られた緋色の恋物語
[No.15] posted by usako
見終わってからもずっとナット・キング・コールの「キサス・キサス・キサス」が頭の中で鳴り続けていた。1960年代の香港の空気など知るはずもないが、銀幕の上には濃密で甘く苦い香りが漂っていた。英語の題名「In the Mood for Love」は、あっさりし過ぎてるのではないか。
主人公の男女は、互いの伴侶が不倫関係にあると気付いた隣人同士。互いに惹かれ合いつつも、なかなか一線を越えるまでには至らない。壁一枚隔てての物理的距離の近さ、それに反して踏み込めないもどかしさ。カメラも廊下から部屋の一部しか写さず、互いの伴侶の顔も写らない。フレームの外の世界は見る者の想像に任される。
M・チャンのチャイナ・ドレス姿は溜め息が出るほど美しかった。ほっそりした肢体に美しい脚のライン、さすが元ミス香港2位のスタイルの良さである。身体の線に沿ったドレスだが、真っ直ぐ伸びた背筋と高い衿が彼女の品の良さ、ガードの固さ、抑圧された想いを感じさせる。(あの衿の高さを強調するには、やはり髪は高く結い上げなくては!)
デザインは同じだが、色や柄で様々に表情を変えるチャイナ・ドレスは彼女の心理状態を現していたように思う。特に印象に残ったのは、ホテルを訪ねる時の白地に黒の花模様のドレスと真っ赤なコートの組合わせ。華やかでいて武装的、緊張感と葛藤に満ちた装いだった。
映画の終わりの方になると彼女は髪を下ろしており、ドレスの衿もやや低くなっていたようだ。
チャイナ・ドレスにばかり目を奪われて、トニー・レオンの方は明らかに観察不足になってしまった。
大きめのイヤリング、ハンドバッグにハイヒール、リキッドで描いたアイライン、シーム入りのストッキング、女らしさを演出するアイテムの数々を見ていると、子供の頃に大人の女性の持ち物に憧れたような気持ちを思い出した。
渦を巻く欲望
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[No.14] posted by まつ
濃い。濃すぎる。
こんな濃い映画を見たのはひょっとすると初めてかもしれない。
恋情、欲望が台風並に渦を巻いていて、胸の奥から妬けつくような渇望が湧き上がってくる。
ラブストーリーならマギー・チャンだが、トニー・レオンも腰が抜けそうなほどセクシーな男を演じていた。
しかし、あくまでも「IN THE MOOD FOR LOVE」である。
最少の説明では、過剰な説明であらすじを理解する鑑賞法に慣れた人には苦痛だったりするだろう。
しかし、これを理解してしまう奴ってのもどうかと思う。微妙なところだ。
日本人には濃すぎるってことに納めておこう。
あらすじはお互いの伴侶が不倫してる片方同士が、思慕だったり貞淑さだったり混乱して困惑して最後に男がアンコールワットに行く話。もちろんこんなこと書いても何のことやら分かりません。
女は顔を伏せ
近づく機会を与えるが
男には勇気がなく
女は去る。
香港の街が巨大な迷宮に
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[No.13] posted by Fking
映像良し、音楽良し、衣装良し、俳優良し、完成度高し。
絵(映像)の部分では,「狭さ」がポイントになっています。
横長の画面を縦長にして狭い画面にしているけれども,フレームの奥行きをうまく使って,
どこまでも続いているような香港の街自体を,巨大な迷宮に置き換え,奥深くにさそいこまれたような錯覚を覚えます。
アパートの廊下も,ホテルの廊下も,路地も,タクシーから見える景色も,それぞれ画面の両側が壁や何かで隠されていて,
縦長の画面が「狭さ」を強調しています。その奥に何かはっきりは見えないけれど,あるいは想像するしかないのだけれど,
「何かある」と思わせるところがうまいなぁと思いますね。
その何かというのは,不倫の関係ですから未来とか希望とかではないのですが,
それでも見る側に「もしかしたら」と想像させてくれる余地を残しておいてくれるところが,
「だめだろうなぁ」と思いながらも期待してしまうわけです。
それはマギー・チャンの子供が誰の子か,というところまで含めてのことなので,
画面の奥行きが文学的な味わいをさらに深めてくれるのだろうと思います。
テレビ作品では出せない贅沢さです。
噛めば噛むほど味が出る
100.0% (9 / 9)
[No.12] posted by Ue, M
映画館で一度こっきりの映像美を楽しむのもいいけれど、この作品は見る度ごとに味を噛みしめることができます。
ですので、ぜひ手元に置いて、スルメを味わうように、何度でも楽しむことがオススメです。
(私はけっしてDVD発売元の回し者じゃありませんが…)
梁朝偉の寡黙な中に語る目線や、張曼玉の手の表情による演技にも、その時々で深い「言葉」が感じられます。
自分の感性と王家衛作品との一騎討ちを、とことんまで楽しんでみて下さい。
五段階評価では4.5と思いまして、四捨五入で☆☆☆☆☆といたしました。
何度も観てこその映画なのかも
25.0% (2 / 8)
[No.11] posted by Kiyo
ん~??
これが、観おわった後の感想。
急に画面が切り替わったり・・・
状況がどうなってるのかがちょっとよく分からなかったなぁ。
「2046」でも、2回見てやっと分かったところがあるので
今作も2回3回と見たほうがよく分かって、
ジワーッと面白みが出てくるのではないかと思う。
まだ1回しか見てないけれど、見れば見るほど面白いという期待を込めて★4つ。
そのためにはやっぱり買うべき。
王家衛のレトロスペクト
90.0% (9 / 10)
[No.10] posted by mishanue
ストーリーは、一言で言えばダブル不倫の話である。妻が隣人の夫と不倫している事に気づいた新聞記者(トニー・レオン)が、その隣人の妻と互いに惹かれあっていく・・・・・・決して目新しいものではない。
しかし、演出は技巧に富んでいて素晴らしい。主人公の妻とその不倫相手は、会話を通して語られるだけで映像には登場せず、彼らの関係も観客の想像力に多くの部分がゆだねられている。この仄めかしが、家衛らしく夜、及び室内のシーンで主に構成された濃密で美しい映像と相俟って官能的でいて格調の高い空気を作り出し、不倫の話にありがちな低俗さや過度の感傷からこの映画を隔て、一段階高次の芸術作品へと引き上げている。
そして、なにより赤を基調とした美しい映像と、素晴らしい音楽、60年代の香港のクラシカルな雰囲気に酔わされる映画である。これこそ映画の醍醐味ではないか。その意味で、この映画は第一級の娯楽作品ということもできる。
やや消化不良の観があるエンディングも続編に当たる「2046」を観ることで治癒されるものだ。両者はあわせて鑑賞されるべきものだろう。そうすることによって、より家衛が描こうとした視点が明らかになり、「中年男の遍歴及び回顧」の物語としてのこの映画の本質が浮かび上がってくる。
この映画を単独で評価の対象とすれば、良くできた、美しい、しかし若干小ぶりな作品、という形容が当てはまるだろう。これに対して、四年も後に発表された「2046」と併せて観ることも許されるなら、家衛のレトロスペクト・前編として、より高い評価が妥当する。
いつみても鳥肌が立つ
100.0% (1 / 1)
[No.9] posted by 赤パン
ウォン・カーワイ監督が挑んだ大人な映画。
それまでの若者文化的映像を使いながらも、ベルベットのような音楽と赤を基調とした滑らかな映像が美しいです。
そして、言葉よりも表情や動きを大切にした成熟した演技ももちろんすばらしい!
未公開シーンも見ましたが、やっぱりこの形が一番。
無駄な説明がないので、何度見ても新しい発見があり、何度見ても新鮮。
2046にとっても期待です。
紳士・淑女のおとなの恋愛映画
100.0% (1 / 1)
[No.8] posted by 海山ごはん
とにかく映像が美しい。
そのかわりストーリー性を犠牲にして、シーンごとが記憶に収まるが、それはご愛嬌。
レトロな家具と赤を基調にした画面構成、シーンごとに変わるマギーのチャイナドレス。
トニーレオンのダンディズムとマギーチャンの美麗な容姿、多用に使われるバックシーンはいっそうそれを強調させるだけでなく、背徳的な孤独感も演出している。
ストイックで悲しい駆引きを繰り返すおとなのためのラブストーリーです。
プラトニックなのにとってもアダルト
100.0% (5 / 5)
[No.7] posted by ハムケン
ジャンル的には「恋愛映画」になるのかなと思うのですが、ベッドシーンもなくプラトニックなのに何かいやらしい映画です。マギーチャンとトニーレオン以外の登場人物はあまり出てこず、二人の悶々とした様子がとても濃密に描かれています。垣間見える香港の住宅事業や気候が湿度を一層高めています。
結婚してから観て下さい!
83.3% (5 / 6)
[No.6] posted by びゅうこ
カーウァイ作品が大好きで、恋する惑星以来、全部劇場で観てます。
「花様年華」を初めて見たのも、劇場公開のとき。たしか初日。
でも、劇場で観た時は、よくわからなかった。
マギーチャンのまばゆい美しさと、トニーレオンの怖いくらいの未練(←これがまたいいんだな~)くらいしか、印象に残らなくて、他のカーウァイ作品は、それぞれ劇場で2回以上観たけど、この作品については「……いいけど、まあ、1回でいっか」って思った。
だが!しかし!!!あれから4年の月日が流れ、私自身も結婚し、
この作品を思い出し、「もう1回観たい」と思い、DVDを購入。
もう一度観てみたら、ほんっとにすばらしかったです。
マギーが節度を保ちながらも、感情が高ぶっていくのが、よくわかりました。2人の葛藤がたまらなくせつない……
たぶん、この夏、繰り返し観ちゃうと思います。