- [監督]大島渚
- [俳優]川口小枝
- [俳優]小山明子
- [俳優]佐藤慶
- [俳優]戸浦六宏
- [その他]林光
- [脚本]田村孟
- カテゴリ:
- DVD (99分)
- 発売元:
- 松竹ホームビデオ (2006/04/27)
- 定価:
¥ 3,990 (税込)- 在庫状況:
- 在庫なし
大島渚はいつでも生真面目に社会の不正義やドロドロした人間の深層と格闘してきたのです
凄い映画がDVD化されましたね。今日あまり見ることの出来なくなっている日本映画の傑作・問題作は数多くありますが、この大島渚DVD-BOX発売で最後の関門が開いたかのような感慨を受けます。ビデオ店を血眼で捜しても置いてなかった作品が勢揃いしました。
そしてこの『白昼の通り魔』です。武田泰淳の原作は土俗的な生命力を持つシノに思いを仮託しているように読めるのですが、映画では明らかにマツ子先生と源治という「屈折したインテリ」の無惨な顛末に照準があるように見えます。現実の前に砕け散った理想。農村は民主主義の高邁な理想などどこ吹く風で、生き抜いていくリアリズムにべっとり塗り固められています(これは『飼育』から引き継がれたテーマ)。「恋愛とは無償の行為です」というマツ子先生の言葉は英助のどす黒い欲望の前では何の力も持たず、もはや最後には哀れにも自らの情欲を糊塗する言葉に堕するのです。それはいみじくも第1次安保世代であり京都大出身の大島監督が自らに突きつけた告発の刃のようにも思えるのです。
難解と言われる大島作品ですが、実は映画のテーマ的発展を続き物として見ていけば、監督が常に誠実にその答えを出そうと格闘してきたことが分かるのです。この作品は『日本の夜と霧』で糾弾しあったセクトの人物達のもう一つの悪夢のパラレルワールドになっていますし、青年がなぜ強姦魔になったのかを描いたのが『日本春歌考』、故あってそうなった人間を国家の名の下に抹殺していくことの是非を問うたのが『絞死刑』な訳です。
非常に細かいカット割りで出来たこの作品、せき立てられるような高いテンションの中で矛盾だらけの登場人物の行動・存在の意味が問われていきます。それは初めから袋小路に陥ると知りながらやり出した難事業。その苦闘の痕跡が全編横溢しています。この様なもの凄い邦画が撮られ、今DVDで手にすることが出来る日本の文化に私は誇りを感じます。
ええぞ!
大島渚の作家性を充分堪能できる作品である。闘う反体制映像作家が久しぶりに前衛的な作品に挑戦した。冒頭からカットの連続、死人の前で女を犯すと言うセンセーショナルな題材ながら、後半はどんどん主題からずれ、観念的な世界に引きずり込まれてしまうのである。賛否両論あるだろうが、私は大島渚の傑作だと確信する。戦後の女性の立場、地位考えさせられる作品だ。
タイトルで敬遠していたけれど
ただの犯罪者の話じゃあもちろんない。民主主義の挫折って言うのかな、小山明子の教師役に妙な共感を抱いた。理想主義者の挫折。しかしそんな悲哀が前面に出ないのが大島かな。最後に生き残るのは生理の強いものだからね。
この作品はなんともいえない気分になる。カットの異常な多さもこの作品にはフィットしている。
