便乗商法に幸あれ!「ミュンヘン」大ヒットのおかげで浮上した幻の傑作
58.8% (10 / 17)
[No.7] posted by gumby13
原作は、『羊たちの沈黙』などハンニバル・レクターシリーズで有名なトマス・ハリス。映画は上映中止のまま月日は流れ、数年前に原作小説は新潮文庫から発刊されていた。その面白さに身悶えしながらも、一生お目にかかれないんだろうなぁと諦めていた。のだが、「ミュンヘン」が公開できたこと、しかも大ヒットに便乗する形でのリリースである。世の中何が幸いするかわからんなぁ。
DVDリリースなのでシネスコサイズ当然だけど、海外でのビデオリリース版はビスタサイズだったとか。個人輸入などでビデオを購入した熱心なマニアの言は、シネスコ版の本リリースを絶賛しているのだが、それは正しい。見比べてはいないものの、シネスコサイズでの画面構成は全編実に計算されていて、これをトリミングされてしまったら眼も当てられんなぁというのは良く判る。
ストーリーやキャラクター造詣ノついては今更言うことは無い。個人的に押さえどころのシーンは、主人公カバコフ少佐が、黒い九月の女闘士の情報開示をCIAに強談判するシーンだ。
モサドの情報将校を演じるのはロバート・ショー。そして、交渉相手のCIAライアット大佐を演じるはウォルター・ゴッテル。この二人、『007 ロシアより愛をこめて』で共演しているのだな。ショーはかの有名な「時計の殺し屋」グラントを、そしてゴッテルはスペクターのテロリスト養成所の教官である。しかもゴッテルは、『007 私を愛したスパイ』以降ソビエト海軍のゴーゴル将軍で準レギュラー出演。そしてショーは、『バルジ大作戦』では戦争マニアのドイツ司令官ヘスラー大佐を好演していた。。。。思わぬ師弟再会どころか、なんとも剣呑なキャリアのカウンターテロ責任者二人のランデブーは、思わず口元が緩んでしまうのであった。
「幻の傑作」
66.7% (10 / 15)
[No.6] posted by 五番街
今,旬の題材。ロバート・ショーの嗅覚が鈍ければ,マイアミの8万人は大統領共々蜂の巣だっただろう。
心に傷を負ったベトナム帰還兵の使い方がうまい。まさにPTSDの為せる業。テロ組織「ブラック・セプテンバー」を堅苦しく描かず,美女一人を代表として描いたのも効果的。
こうして観ると,無差別テロも,計算し尽くされ冷静に遂行されるというよりは,成功を信じて疑わぬ狂信者が生死を賭けて実行するものなのかもしれないと取れる。現代はどうだろうか。
全く古さを感じない。「幻の傑作」の名に恥じない作品。
文句なしの傑作
86.4% (19 / 22)
[No.5] posted by アクセル・フォーリー
難しい政治的背景は他の方のを読んでいただくとして、ここでは純粋にこの映画のよく出来た点を挙げたいと思います。当時は同じパニックもののパニック・イン・スタジアムと比較する方もいましたが、この作品の特徴は舞台が各地に飛んでも決してダレるところがなく、緊張感が持続されたままクライマックスを迎えます。特にマイアミでの市街戦の場面はロケ撮影とは思えない迫力です。もうひとつは空撮のすばらしさでこれは撮影監督のジョン・A・アロンゾの功績大です。よくぞ提供した某タイヤメーカーの飛行船が飛来するシーンは異様さと美しさをもって迫ります。通常では何本もの映画が作れるくらいのクライマックスを幾つも詰め込んで、決して破綻することなくまとめあげたJ・フランケンハイマー監督はこれが本当のベストではなかったのではないでしょか。
今日では決して作られることができない作品だと思います。DVDの画質はかなり良く当時劇場では観賞が叶わなかった方は家庭のホームシアターで永久保存盤にできる喜びを味わいましょう。
個人的には「過激派(テロリスト)よ、さようなら」の原点
60.7% (17 / 28)
[No.4] posted by みでじゃ
1970年前後に多感な時代を過ごしたインテリ層は、多少なりとも、過激派にシンパシーを持つ傾向があったのではないかと思う。でなければ、小川伸介さんや土本典明さんらの記録映画や、大島渚さん、若松孝二さんらの劇映画があんなに支持されるわけがない。もちろん自分にもそういう傾向があったが、三菱重工爆破事件当たりを契機に、インテリ層の過激派離れは確実になった。そして個人的に「過激派よ、さようなら」の感情がさらに決定的になった事件といえば、この「ブラック・サンデー」上映中止事件にほかならない。テロ予告で上映中止に追い込んだPFLPシンパと見られる過激派の論理では「中東の悲劇が続いている中で映画など見ている場合か」ということだろうが、こちらとしては「自由に映画も見せないような政治は絶対、支持するわけにはいかない」ということだ。監督の故フランケンハイマーはユダヤ系と言われたが、この映画は当時としても極めて中立的な描き方をしていることに驚く。「君に愛の月影を」や「マイ・ラブ」などで個人的に当時のナンバーワン・アイドルだったマルト・ケラーを準主役の女テロリストにしたセンスもいい。上映されていたら、逆にテロリスト・シンパが増えたのではないか、と思わせるぐらいだ。ここに無惨なベトナム後遺症を絡ませる秀逸な物語は、原作者トマス・ハリスの功績(本作がデビュー作!)でもある。「終身犯」や「影なき狙撃者」、「フィクサー」などで示された、この監督のリベラルな資質は、この映画でも存分に発揮されていると思う。
傑作!!
50.0% (5 / 10)
[No.3] posted by ノビー2474
社会問題か何かで日本劇場未公開に終わったらしいですが、本作は傑作です。
冒頭のややミステリアスな襲撃シーンからクライマックスへのつなぎ方も絶妙ですし、少しドキュメント・タッチで緊迫感のある場面が終盤まで続きます。
どこか冷徹な感じの演出も素晴らしいです。
ロバート・ショーも良いですが、ブルース・ダーン演じる異常者が絶妙です。
しかし、かなり硬派な映画なので好みは少し分かれるかもしれません。
余談ですが、子供の頃はこれと「バイオレント・サタデー」が頭の中で良く混同していました(笑)。
正に、“映画史上最高の冒険映画”。必見!!
78.6% (22 / 28)
[No.2] posted by hide-bon
祝、DVD化!全てのアクション映画ファンや冒険映画ファンの皆様、「ブラック・サンデー」、遂に、5.1Ch、シネマスコープ版で登場!本当にこの日をどれほど待ちわびたことか(笑)。77年今作が劇場公開直前に中止になった経緯はもはや触れない。ジョン・フランケンハイマーが、「私の血は4分の1はジューイッシュ、残りはアイリッシュ。しかし、この映画を政治プロパガンダに仕立てる気は毛頭ない。私が作りたかったのは、アクション、スリラー、サスペンスだ」と自ら語った言葉を引用するだけで十分だ。自己の尊厳と信条、アイデンティティを賭けた追う者と追われる者の血みどろの闘いが、まるでニュースフィルムを観ている様なざらざらしたドキュメンタリー・タッチで、ダイナミックに、手に汗握るサスペンス描写の中、迫力満点に活写される。正に、60年代から70年代に駆け、ペキンパー、アルドリッチ、シーゲルと共に、本当に面白い骨太のアクション映画を撮り続けていたフランケンハイマー作品の中でも、文句なしの最高傑作。中盤のマイアミの浜辺でのアラブ・ゲリラのリーダーとFBI&モサドとの、そして、ラストの飛行船とヘリコプターとの2つの息詰まるチェイス・シーンは、ジョン・A・アロンゾ(「バニシング・ポイント」、「ブルー・サンダー」)の疾走感溢れるカメラ・ワークの素晴らしさと共にいつまでも語り継がれるべきものだ。そして、ブルース・ダーン。ハノイで捕虜として6年間拘留され人格が一変してしまったベトナム帰還兵の、何とも言えぬやるせなさと、モハヴェ砂漠でのダーツ爆弾の“実験成果”に恍惚の表情を見せる危うさを見事に演じきったその名演ぶりも忘れられない。
見て損無し! 買って損無し! 絶対にお薦めの幻の大傑作!
85.7% (24 / 28)
[No.1] posted by スネーク・プリスキン
1977年夏の本作の突然の上映中止のショックは、もし例えば今年の夏の話題作『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』が突如上映中止になった場合のことを想像してもらえれば、今の人にも理解してもらえるだろうか。それくらい当時は衝撃的事件だった。
筆者が本作を鑑賞できたのは、その6,7年後にビデオ発売された時だった。本来のシネスコがTVサイズにトリミングされて画質もベストとは言えなかった。しかも、公開中止前に幸運にも試写を見た人間からは「傑作だった」とさんざん聞かされていた。百倍、二百倍に膨らんだ期待の中でのビデオ鑑賞だった。そんな期待で見たら普通の作品は鑑賞後ガッカリするものだ。ところが、本作は見事な傑作だった。特に、特殊爆弾を積んだ飛行船が満員のフットボール開場に突き進むのを阻止できるかどうかのクライマックスの凄さは筆舌に尽くしがたい。これでもかこれでもかのスリルとサスペンス。ヒッチコック映画を10本くらいまとめて凝縮したような力と迫力がある。目もくらむヒヤヒヤ、ドキドキの連続である。手に汗握るとはまさにこの事だ。本当に凄い。本作を見て損は無し。買って損はない。絶対にお勧めのDVDだ。